魔法の代償に毎日記憶を失う障害を持つルシアを治したいと、研究を続けていたイルクがある日、仮面を被った人間に襲われている女性を助けた。ヴィリエと名乗った女性は、四肢すべてが義肢であり、その魔法の秘密を狙われているというのだ。
ルシアと同じくカディナの被害にあったヴィリエを手伝うと言い出したイルクだが……
1日の終わりにすべての記憶が失われてしまうルシアと、彼女を助けたいと思う魔術師イルクの物語の続編です。あとがきによると、後日談としての役割を持つ完結編だそうです。前作は彼に、今作は彼女に焦点を当てた物語ですね。
イルクと共にいることに嬉しさを覚えながらも、それがどういう感情なのかはっきりと意識していなかったルシアが、ヴィリエに触発されて、少しずつ自分の気持ちに気づいていく展開がいいですね。「友達」からもうひとつ進みたいという、もやもや感が伝わってきます。
仲の良い相手に、冷たい感情を持ってしまうことは、決しておかしな事ではありませんが、きちんと向き合っていく姿に好感です。
イルクにしろ、ルシアにしろ、ヴェリエにしろ、欠落したものがあるわけですが、欠点である欠落したものが、逆に羨ましくもあるというのはわかる気がします。歪んでいるとわかっていながらも、今が苦しいときは縋りたくなりますよね。無いものねだりと一概に言い切れない気持ちがあります。
内容としては重い感じがしますが、重過ぎない程度にまとめてくれましたね。最後の言葉とイラストに、心が温かくなります。
話の先をいろいろと想像できるだけに、もうちょっとシリーズとしての物語を読みたかったなあと思いましたが、ここで余韻を持たせて終わるのもいいのかもしれませんね。次なる作品に期待したいです。
あしたびよりII真鍮の四
雨森 麻土
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