若くして魔術研究の学者試験に受かったイルクは、ある日、買い物で迷っていた少女ルシアと出会った。普段書物を相手にしているイルクにとって、ルシアの手伝いは思いのほか楽しいひと時だったが、彼女を家まで送り届けたとき、突然、光の刃が二人を襲った。
魔術だ。自分たちは魔術の攻撃を受けているんだ。
とっさに彼女を庇ったが、相手は魔術を使う傭兵らしく、かなりの強さで……
魔術を使うには五感のひとつを失わなければならない。にも関わらず、五感のすべての機能を失うことなく魔術が使えるイルクと、記憶がリセットされてしまう少女ルシアが出会った物語。
とある障害により日付が変わると記憶がリセットされるため、自分が書き記したメモを見なければ、住んでいるところも人間関係もわからないルシアの苦しみが、ダイレクトに伝わってきます。覚える事が出来ないなら友達なんていらない、なんて言いながらも、孤独に耐えられなくなっていく過程が辛い。
ルシアを助けたいと、与えられたわずかな情報から多くの事を推測し、制限のある力をフルに使って奮闘するイルクも悪くは無いんですが、如何せんルシアの印象が強いだけに、存在感が薄いのが残念かな。
一番印象に残ったのは、明日なんてこなくていいと思っていたはずのルシアが、ぽろりと言葉をこぼすシーン。何気ない一言に心が明るくなりました。
ただ、疑問だったのが、魔術を使うには いわゆる MP が必要という設定なのに、MP 以上の魔術を使っているように感じたんですが、気のせいですかね。魔術の発動と維持のレベルがよくわからなかったので、そのあたり混乱しました。
それと、割り込む会話の使い方がわかりにくかった。はじめは誤植かと思いましたよ。斬新ではありますが、こういうところで引っかかりを覚えてしまうのはもったいない。
というわけで、いろいろと目に付くところはありますが、終わり方が良いので次作に期待してしまいます。
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