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[河上朔] wonder wonderful 下

私の考えたことが、通用する。認めてくれた。
嬉しい。嬉しい、嬉しい!
イルサムさんの前で、胸張れる。ちゃんと、あの人たちと同線上に立てる。
(ひなた!お姉ちゃんはがんばるよー!)

王太子と冒険を繰り広げてきたという妹ひなたの異世界旅行。どこか他人事気分で話を聞いていたら、妹に危機を夢で知り、姉として駆けつけなければという思いから、こかげは異世界の国ディーカルアへと足を踏み入れて……というお話。下巻では、監禁された妹ひなたを助けるための「策」を実行するところから物語が始まります。

ああ、もう感動しまくり!もうね、何度涙したかわからないんですけど、これが全部優しさや温かさを感じての涙なんだから、たまりません。涙させられて、悶えさせられて、笑わせてくれて、ほんとうに楽しかった。

何といっても、こかげの頑張りまくりシーンが魅了的でした。「魔性の女」作戦もさることながら、国王の行事を、妹のひなたの案をベースに作り上げて。妹を助けるというだけでなく、「国」を動かすことによる責任についての覚悟を背負いながら、決して逃げなかったところには、しびれたなあ。イルサムという尊敬する人に軽蔑されたくないという思いもあったでしょうけど、ルカナートという存在が、彼女の支えになったってのもあるでしょうね。
この計画をきっかけにして、新たに自分の居場所を作り上げていったこかげの姿を見てると、嬉しくなってきちゃって、ゴロゴロしまくった僕がいる。

そんなこかげだけでなく、周囲の人も魅力たっぷりで。
個人的には好好爺としながら、鋭さを忘れないイルサム大好きだったけど、美しさと権力とずる賢さを兼ね備えながら、身分違いの恋に悩むシルヴィアナも好きだったなあ。彼女とこかげの間に友情が見えるところは、すっごい楽しかった。

けど!それ以上に良かったのは、恋愛要素でした。
この世界にいるのは一時のこと、という思いから、恋についてはブレーキをかけて動いてましたが(鈍いってのもあるけど)、抑えて抑えて抑えていたものが、ある瞬間に「落ちた」ところのシーンは、ニヤリとさせられたなあ。それまでは普通に接していたのに、自覚してからは乙女モード全開になってて、気恥ずかしくなる。
あちらに戻ったら……という不安が混じりながらも思いを抑えられない気持ちが、とても恋だと思いました。

面白さいっぱいの物語でしたが、涙するシーンもたくさんありました。中でも一番キタのはやっぱり、ザキくんが国王として支持されていることが伝わってくるところかな。あのとき、衝動的にザキくんを連れて行ったこかげの気持ちがもう……。
やさしさは泣けるものなのよ、というこかげの言葉を、これほど実感できたことはないです。M

いやあ、面白かった。文句なしでオススメ!
来た当初はいつ元の世界に戻れるかという気持ちだったこかげが、こちらの世界で多くの人たちの優しさに触れて、居場所を作り上げていく展開が、本当に素晴らしかったです。

元の世界に戻ることは寂しいことではあるんですが、でもいつかまた来れるかもしれないし、何よりこちらの世界で過ごした思いがなくなるわけではないんですよね。楽しかったと言って戻ったこがげがとても印象に残ってます。うん、ほんと良かった。

ちなみに下巻に収録されている書き下ろしの短編は「」です。こかげが戻った次の日の朝のイルサムとルカナートのやり取りが描かれています。しんみりするけど、どこか温かいものが残るのは、こかげという存在がもたらしたものなんだろうなあ。朝の光が、ひなたとこかげの笑顔を思い出させてくれる、そんなお話でした。

wonder wonderful 下 - 河上 朔

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