森の泉と称される辺境のロンバルドで、アルカインは仲間と合流する予定だった。だが、仲間と連絡が取れないため、しばらくこの町に滞在することにした。始めて世界を旅するセロにとって、初めて目にするものが多く、目を引かれたが、ふと視線をあげたとき、幼い少女を見かけた。迷子かと思ったが、よくよく見ると、その少女には実体がないようだ。思わず身を引きそうになったとき、少女はセロに向かって「……たすけて」と、か細い声をかけてきて……
「還流の輪環」という幻の魔導具を巡る争いに巻き込まれた少年セロが、黒猫の魔導師・アルカインと共に旅をするお話の第二弾。今回は、アルカインの仲間と合流する予定地「森の都」で、セロが助けを求める精霊に出会って……、というお話。
これは、楽しかったなあ。
何といっても印象的なのは、セロの事になると、誰よりも(アルカインよりも!)強くなるフィノの様子です。部屋決めのときとか、アルカインの仲間に女性がいると知ったとき、女の子がセロに話しかけてきたときなど、笑顔を見せながら、相手に釘を刺そうとする彼女の姿にニヤリとさせられてしまう。
ベッタリくっつかれることに、恥ずかしくもあり嬉しくもあるようなセロでしたが、彼女の表面上の態度に惑わされず、内なる思いに気づいて、そっと支えてあげる様子がとてもよかったです。いや、まあ、彼が思ってるほど、フィノは弱くないと思うけど、それはそれってことで。うん。
また、アルカインの仲間もいい味出してるんだ。
危険な場所だろうがなんだろうが、気を引くものを見かけたら、首を突っ込む研究熱心……というよりは、常識が足りない学者肌(学者馬鹿?)のホークアイと、アルカインの弟子である真面目な女の子なんだけど、ホークアイの口のうまさについつい丸め込まれてしまうシズクのコンビのやり取りは、クスっと笑ってしまうものがありましたね。
アルカインラブなシズクの妄想……じゃないけど、時々見せる思い込みの激しさが、すっごい好き。
で、この五人が、魔族の策略によって、「旅の終わりの森」と呼ばれる遺跡へと集うことになるんですが、精霊や魔族に見えた思いが、時に切なく、時に意外で、一概に敵や悪などと割り切れないものがありました。このあたりは、今後もキーとなってきそうですね。
ただ、とても面白かったんですが、もうちょっと何かほしかったかなあ。前作の終わりと遺書で、ここから旅が始まるという、いわば序章な雰囲気なんですよね。そういう意味では盛り上がりに欠けるというか、物足りないところがあるんですが、まあ、これで仲間も増えましたし、魔族たちもいろいろ画策してくるっぽいので、このあたり次にどう動いてくるか、楽しみですね。
輪環の魔導師 2 (2) 旅の終わりの森 (電撃文庫 わ 4-26)
渡瀬 草一郎
アスキー・メディアワークス(文庫)
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そうそう。著者である渡瀬草一郎さんのblogで、アルカインたちの可愛らしさ溢れる壁紙が掲載されているので、興味がある方はぜひ。
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