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[峰守ひろかず] ほうかご百物語

「あなたの血、吸ってもいいかな」
忘れ物したことを思い出して、夜の学校を訪れた真一の前に、現れた美しい少女の言葉に、恐怖を感じたが、かろうじて退けることができたのは、妖怪オタクの先輩の無駄な知識を刷り込まれていたからだ。「正体」を見破られた少女は、ルールに従って、「あちら」へ帰ろうとしたが、こんな綺麗な人は、学校中探したって、いや、世界規模で探し回っても見つかるもんじゃないと思った真一は、つい先ほどまでの恐怖も忘れ、彼女へ叫んでいた。「モデルになってください!」と……

きれいな人を描くことが大好きな美術部員・白塚真一と、モデルになるために美術部にやってきたイタチさん、そして美術部員なのに妖怪の研究が趣味の経島先輩など、美術部員の面々が、学校内に現れる妖怪を退治するお話……といっても、絶体絶命のピンチになったりするサスペンスものじゃなくて、先輩の妖怪薀蓄を元に、あれやこれやと相談して、イタチさんの力を借りつつ、切り抜けていく感じのお話なので、放課後の部活動の一部みたいなワイワイやってる様が楽しい。

教師だろうが生徒会長だろうが、まったく気にせず慇懃無礼な態度をとりつつ、おいしいところはちゃっかり持っていく先輩と、まじめな美術部員なんだけど、きれいなものへの反応の仕方は、やはりこの先輩あっての後輩かと思わせる変人さを持つ真一の掛け合いが面白い。そこへ一生懸命なイタチさんが入ってくると、ラブコメにもなってくれるから、たまりませんよね。

尻尾を触れられたときとか、真一のまっすぐな好意に、あたふたしちゃうイタチさんがとても可愛いですが、そんなイタチさんを見て、可愛いと思ったときに、いろいろやらかしてくれる天然な真一も可愛いと思いました。考えてみたら、妖怪退治のときもイタチさんに守られてるし、ひょっとしたら、イタチさんよりも、真一のほうがヒロイ……なんでもありません。

いやあ、面白かった。毎回毎回、いろんな妖怪を相手に楽しませてくれて、ほのぼのとさせられて。最後はちょっと切なくさせられましたけど、それ以上に嬉しくさせてくれる終わりがよかったです。
これはぜひとも続きをお願いしたいですね。

第14回電撃小説大賞大賞受賞作。

ほうかご百物語 (電撃文庫 み 12-1) - 峰守 ひろかず

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