この街に来た理由のひとつであるというのに、白雪先輩のことになると、ギクシャクしてしまうりんごさん。ある日、「御伽銀行」の貸を使って、白雪先輩からお留守番を頼まれたものの、気持ちの整理がつかない。りんごさんの過去を知っているおおかみさんは、この機会に何とかしてあげたいと思って、白雪先輩の頼みごとを引き受けるが、りんごさんは付き合おうとせず……
人への貸しは必ず返してもらうエゲツナイ正義の味方、学生相互扶助協会「御伽銀行」のお話の第五弾。今回は
- 誰かに見てもらうことが嬉しいと思って、ストリーキングしてた女生徒を、乙姫さんが美しく磨き上げる「おおかみさん夏休みの夕方にストリーキングと遭遇する」
- 漢たちの美学「ジャックと豆の木大作戦」を止めるべく、御伽銀行女性メンバーが動く「おおかみさんお馬鹿きわまりないジャックとその仲間たちと対決する」
- りんごさんと、腹違いの姉・白雪さんの間を取り持ちたいと思ったおおかみさんが頑張る「おおかみさん白雪さんと出会いりんごさんのためにがんばる」
という、裸の王様(女王様版)、ジャックと豆の木、白雪姫をモチーフにした三編と、ちょっとしたエピソード的なプロローグ「亮士くんとなんだか変な夢の話」と、エピローグ「おおかみさんりんごさんに影響されて自分も少し前に進もうと決心する」が収録されています。
やばい。やばいやばいやばい。おおかみさんがすっごい可愛いですよ。今までは格好いい感じが前面に出てただけに、ギャップにやられます。
イニシャルG(通称ゴキ○○)と出会ったとき、側にいた亮士くんが、今までにない良い思いをしていたところに、思わず悶えました。気恥ずかしくなってやさぐれたり、男性を意識させる講座(by 乙姫さん)を聞いて、こっそり試しちゃうところとか、もう最高。
一編目では、御伽銀行としての活躍はなかったけど、普段よりもおおかみさん分を堪能した気分でいっぱい。
二編目。部分部分を切り取ると、目的のために集う漢たちの物語で、時に熱さをも感じるものがありましたが、その目的ってのが……。バカバカしいかもしれないけれど、思春期な男の子たちの素直な欲望が、壮大なプロジェクトを生む過程は、素晴らしいと思いました。マネしちゃダメだよ?
とまあ、いろいろあったけれど、個人的に一番良かったのは、表題作といってもいい三編目ですね。りんごさんに腹違いの姉がいて、そのことが心の傷となっているあたりは、なかなかヘビーでした。白雪さんが責めてくれたら、まだ気持ちは晴れたんだろうけれど(という言い方は変だけど)、いい人だったから、逆に自分で自分を追い詰めてしまったんでしょうね。
同じく心に傷を持つおおかみさんが、何とかしてあげようと、亮士くんをつれて奮闘する姿は、これまたコミカルに悶えさせてくれつつも、友を思う気持ちが見えて良かったです。おかげで、りんごさんの素直な一面をみることができましたが、その結果が報われて本当に良かった。
「私には妹がもう一人いるのよ」
白雪さんの優しさあふれる言葉に、じんわり。
いやあ、面白かった。おおかみさんの魅力がたっぷり伝わってきましたよ。見た目ヤンキーで、手が出るのも早いけど、いいお姉さんっぷりに惚れ惚れする。それと、亮士くんとの間に、だんだんと抑えきれない感情が見えてくるあたり、ニヤツキが止められませんね。 最後に見た「夢」なんて、もう!
じわじわと近づいていく二人の距離が、次にどれだけ縮まるか。とても楽しみです。
オオカミさんと毒りんごが効かない白雪姫
沖田 雅
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