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[小河正岳] ウェスタディアの双星 真逆の英雄登場の章

豊かなれど小さく弱い国ウェスタディア。隙あらば、襲い掛かろうとする周辺の国を抑えることができたのは、「仁王」とも呼ばれ、多くの国に影響を及ぼした王エドアルドの力があったからだ。だが、その王が崩御したとき、国は支えを無くした。あろうことか、王位を継ぐ息子が、他国の侵略を恐れて亡命したのだ。有力な貴族までもが逃げる中、エドアルドのために力を尽くした商人にして外交官のチェザーリは、15年間、王家のことを知らず、修道院で平和に生きてきた王の娘ルシリアに、過酷な運命を告げる決意をしたが……

修道院という閉ざされた世界で平和に生きてきた優しき少女ルシリアが、外務卿たるチェザーリや周囲の力を借りて、崩壊寸前の国を立て直そうと奮闘するお話です。

これは面白かった。いや、いくら国が危ないからって、宰相までもが逃げ出すとは思いもしませんでしたけど、ここまで堂々と有力貴族たちが逃げ出していく姿は、いっそ天晴れにも思えるユーモアさ。当事者からしたらとんでもないけど。
ウェスタディアの民でもない、ただエドアルド王の人柄に惹かれただけの元商人チェザーリが、何としてもウェスタディアを守ろうと奮闘する姿には、なんとも言えない皮肉を感じたなあ。

それまで、汚れた大人ばかりを見ていたから、ルシリアの健気さが、映えること映えること。狭き世界で生きてきたことから、弱々しさを感じましたが、時折見せる芯の強さや、民を思うやさしさ、学ぶ意欲と聡明さが、とても素敵です。まあ学ぶ意欲は、チェザーリが相手だからというのもあったりするのかなー、なんて思ったりするのは邪推?

とまあ、始めはルシリアとチェザーリのお話で進んでいくんですが、途中から、スペースオペラになっていきます。弱った国を叩こうとする隣国が軍を挙げてきてと、一方のウェスタディアは正規の軍人たちも軒並み逃げ出していたので、気づけば戦力差は 6000 VS 600。

ルシリアはもちろん、チェザーリとて軍を動かした経験はなく……ってときに、軍をつれて立ち向かったのが、推察力こそあれど経験の少なさから、従来は重く扱われなかったアルファーニが作り上げた戦略を、戦上手でありながら素行不良で降格されていたバドエルが運用していくというコンビは面白かった。

自分たちの有利な場所へと相手を導き、油断を誘い、圧倒的戦略差を奇策一本で抜けていこうとするギリギリさが良かったです。 雰囲気としては、銀河英雄伝説というよりは、タイタニアかな。いや、なんとなくそう思っただけなんですが、ともあれ、若き英雄たちの活躍に乾杯。

いやあ、面白かった。これって、今後も政治が絡むルシリア・チェザーリ方面のお話と、バドエル・アルファーニの戦争方面のお話が、並列して進むのかしら。既に次なる戦いは決まってるので、戦争方面は確定ですね。
個人的には、ルシリア・チェザーリ方面の行方のほうが気になるので、そちらも楽しみにしたいと思います。

ところで、これ、主人公って誰になるんだろう?

ウェスタディアの双星 真逆の英雄登場の章 (電撃文庫 お 10-5) - 小河 正岳

ウェスタディアの双星 真逆の英雄登場の章
小河 正岳

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Comment:2

ジャラル 2008-01-16 (水) 12:00

電撃文庫版『銀河英雄伝説』第二弾(笑)。まあ『神無き世界の』がハードだとすると、こちらはソフトで角川の『でたまか』の方に近いのかな?
宰相ですら国を放棄して逃げ出す窮地の国(しかし実際の歴史にもあるんですよね、こういう例)、その国をどうやって立て直していくのか、これからのストーリー展開が楽しみです。次巻は銀河を二分する大国との戦争、どうなるかな?

deltazulu 2008-01-16 (水) 20:27

あー、そうですね。正規軍人たちの情けなさとかは「でたまか」っぽいかもしれません。
感想にも書いたとおり、戦争ものよりは、政治的駆け引きとかが見てみたいんですが、でも、どちらも魅力的な人たちなので、どう転んでも楽しみです。

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