生物工学の天才である御堂鞠歌は、研究の成果と引き換えに政府から保護されている。ぼくと同じ歳の彼女は、父さんにベタ惚れで、いつの間にか、我が家に入り込んでしまった。おかげで、我が家には怪しげな生物が蔓延っている。
そして、今日もまた、常識知らずの彼女の研究の成果によって、僕の平和な生活はメチャメチャに……
常識はずれな天才生物工学者の鞠歌の実験体によって、遠野星也とその友人たちが、トラブルに巻き込まれるドタバタを描いた短編集。収録作品は以下のとおり。
- 誕生日プレゼントは、鞠歌によって人型に作り変えたヒトデだった「ぼくの彼女はウニの味」
- クラスで飼ってるミドリカメが、鞠歌のウィルスで擬人化された「ミドリガメの恩返し」
- 夏休み。キャンプ場の温泉で覗きを決行したらクマと対決することになる「キスミーDNA」
- 雨宿り中。傘の代わりになるものはないかと、鞠歌が取り出したものは毛生え薬?「雨降りと毛傘のコンジョウナナフシ」
初っ端からして、うお、なんだ、この気色悪さは!と思うようなものばかり。ヒトデやらワラジムシなどの描写が、事細かに描かれてて、それが人型になったりするもんだから、気持ち悪さ倍増。特に一編目は、美しき少女として描かれながら、腕がもげたり、内臓が見えたりするので(中身はヒトデ)、素敵にグロテスクすぎて、どうしようかと思いました。
が。
二編目以降は、ややおとなしめだったようで(それとも一編目で耐性ができたのかしら?)、笑えるレベルの気色悪さで、面白くなりました。さりげなく温かさを見せてくれるので、そこがツボったのかもしれません。いや、それ以上に、クラスメイトとの交流が良かったのかな。
遠野星也のお馬鹿なクラスメイト高部と、星也が惚れてるほわわんとした美少女・篠原さん、篠原さんの幼馴染でクールな美女・加藤さんが登場して、この四人+鞠歌のやり取りが読んでて楽しかった。
個人的に一番好きなお話は「ミドリガメの恩返し」。
大切に育てられたこともあって、擬人化されたミドリガメが、篠原さんや星也に懐く姿が可愛いこと可愛いこと。同じように擬人化されたワラジムシは、平べったいおっさんなのに。ギャップが激しいったらないなあ。
そんなウィルスの暴走によって、星也たちにピンチが訪れるんですが、一度決めたことを守り抜こうと立ち上がった篠原さんが格好良かったです。こういう優しさと強さを見せ付けられたら、惚れた男としてはどれほどのパワーをもらえることか。守るべきものを背負って立ち向かうイラストもとても素敵で、このシーンがあったからこそ、最後にほろりとさせられたんだろうなあ。
いつかまた会えたら。そう思いたくなるお話でした。
気色悪いのに笑えたのは「キスミーDNA」でしょう。寂れたキャンプ場に五人で遊びに行って、女の子たちが温泉に入ってるところを覗きに行ったらクマが現れて……というお話。覗き話+妙な情熱のところに、「バカとテストと召喚獣」みたいな雰囲気を感じましたが、そういえば、星也=明久みたいな感じがするなあ。ひどい扱いされてるところとか特に。
今回も、クマを倒すために、星也は遺伝子操作されて、クラゲになってグチャグチャにされたり、鮭になってピチピチしたりと、見てるだけで涙を誘われそうなひどい扱いに爆笑でした。こういうお話大好きかも。
ああ、楽しかった。始めはドン引きでしたけど、慣れてくると楽しめますね。最後のシーンを見ると、さて、彼の気持ちはどっちなのかしらと、恋愛方面にも興味津々。
これは、ぜひとも続きが読みたいものです。
ストップ☆まりかちゃん!
菅沼 誠也
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