泡禍による失踪事件の調査の最中、雪乃は同じ<騎士>である勇路の攻撃を受けて、重体に陥った。雪乃と他人との緩衝材になれればと思っていた蒼衣は自分を責め、近いうちに目覚めるであろう雪乃のために、「赤ずきん」の謎を調べ始めたが、手がかりを得ることができないまま、次の悲劇を迎えて……
蒼衣と雪乃が、泡禍による失踪事件の調査に協力しようとしたら、地元の<騎士>が協力を拒んで……という、赤ずきんを題材にした物語の下巻。
いやあ、すごかった。なかなか全体像が見えない展開が続いていましたが、それでもイラつきとかはなく、引き込まれるばかりでしたね。自身の存在をアピールしたい勇路側で、少しずつ赤ずきんを思わせる符号が見えてくると、俄然面白くなってくるんですが、そこいら中に恐怖があって、ドキドキが止まりません。
特に、かの人が鋏を持ち出したときには、混乱もあいまって、怖さ倍増でした。
個人的に毎回楽しみな童話の解釈も面白かった。「お腹に詰め込む石」や「狼」から、ああいう発想を持ってくるところは、とても興味深い。泡禍なので、厳密な解釈じゃないところもあるんですが、それは幻想ってことで……と思ってたのに、まさかここまでピタッとハマる物語を持ってきてくれるとは思いませんでしたよ。配役が繋がったときには、思わず、ゾクっときてしまいました。
残酷極まりない描写が多々あるので、グロテスクなホラーというイメージがありますが、童話との繋がりを見ると、ミステリー要素も強いですよね。
その例によって例のごとくな描写で、一番きたのは、シルエットの残酷さを見てしまった女の子がいたところ……からの繋がりでした。石を詰め込む描写よりも、詰め込む精神状態に陥ったところがやばすぎる。あっさりとミスリーディングに引っかかってたこともあって、衝撃的でした。
これだけでも、心が痛むのに、最後はさらに輪をかけて後味が悪い。仕方のないこととはいえ、当事者たちが胸に抱えたものを思うと、心が重くなります。こんなことを続けていたら、間違いなく壊れるよなあ。
雪乃の新たな一面が見えただけに、彼女の強気な心が折れることがないか心配でなりません。
それにしても、今回は物語として終わりを見せつつ、先に不穏なものをいろいろ見せてくれたなあ。雪乃たちのこともそうですが、「最後の赤ずきん」が、今後何かの配役を割り当てられることになるのかが気になるところです。
断章のグリム 6 (6) (電撃文庫 こ 6-19)
甲田 学人
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