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[支倉凍砂] 狼と香辛料 6

ホロは怒りをあらわにしていた。だが、その怒りは自分自身に向けていることに気づいたロレンスは、お互いの嘘のベールを剥ぐことなく、彼らを虚仮にした相手を追うことにした。
陸路では追いつけそうもないので、相手を真似して川を下ることにしたが、途中の関所で、厄介ごとに巻き込まれている少年を拾ってしまって……

毛皮の売買でロレンスを出し抜いた相手を追いかけるために、船で川を下っていくという前作からの続きです。

いやあ、楽しいなあ。商売方面のトラブルなどないのに、ホロとの旅はなんと退屈しないことか。特に、前作のおかげで、いつもよりもホロの動揺シーンを確認できるのは嬉しいですね。ロレンスが心配なら心配と言えばいいのに、素直じゃないんだから。

とはいえ、決定的な言葉を先に告げてしまったのはロレンスなので、もう弱い弱い。またひとつ駆け引きのネタを与えてしまって、何かと振り回されるロレンスの様子にニヤニヤがとまりません。
特に何をすることも無いんですが、甘くて優しくて、ちょっと不安定で、読んでて飽きないですね。

個人的に一番好きなシーンは、ひょんなことから、ホロを拗ねさせてしまい、どうやって謝ろうかとするロレンスと、構って欲しいけど拗ねてるホロが、ひっそりと身を寄せるところですね。あの距離感はたまりません。そのあとの周囲を巻き込んで、ホロがいい寄るシーンも、クーと悶えさせられまくって、ああ、楽しい。

今回の旅では、少年のコルを連れて行く事になりましたが、良く学び、真面目な姿は、好感が持てたなあ。みんなが気に入るのもわかります。せっかくなのでとロレンスが師匠となって、商売のいろはじゃないですけど、いろいろ教えていくところには、思わずホロのようにニヤニヤしながらロレンスを見ちゃいましたけど、ニシンの話とか聞いて、あー、なるほど、商人とはこういう考え方をしていくのかとも、思ったり。
まだ経験こそ足りないものの、例の銅貨の謎解きまでしちゃうんですから、単純に頭脳戦になったら、ロレンスより上かも?なんてにんまり。

そんなコルの故郷の話から、先行きの不安を感じさせられましたが、ホロの不安を汲んだロレンスの言葉には、やられたなあ。

「俺は本を厚くしたい」

こんな言葉を贈られたらもう!
きっと、ホロの心には、温かなものが広がったと思います。

いやあ、面白かった。殆どが会話だけのお話なのに、よくもまあ引き込んでくれるものです。ホロもロレンスも魅力たっぷりでした。最後にホロが賭けに勝つところも良かったですね。

次なる旅では、今までとはちょっと違ったところも見せてくれると思いますが、さてさて、どういう雰囲気になっていくのか楽しみです。

狼と香辛料 6 (6) (電撃文庫 は 8-6) - 支倉 凍砂

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