イリーガルイージスを壊滅させ、さらに「適合者」たる篤志を手に入れた「ゾディアック」の力は、圧倒的だった。その力を目の当たりにした大牟田たちだが、このまま篤志を見捨てるつもりはなかった。たとえ、不可能と思われるほどの困難であったとしても。
一方、父との対決において、死を乗り越えた貞教は、ひとつの壁を乗り越えた。冷静で、冷酷な猟人の領域に足を踏み入れた貞教は、「無妄幇」をけしかけて、「ゾディアック」が終結する巨大調査船「オケアノス」へと向かって……
シリーズ最終巻。復讐の念に駆られた「無妄幇」とイリーガルイージスの残党、さらに篤志を取り戻そうとする大牟田たちが、「適合者」を手に入れた最強勢力「ゾディアック」に対抗するお話です。
権力があって、さらに実力が世界最強と謳われる「ゾディアック」に囚われて、逃げ道もまるで残されていない状態の篤志の絶望から物語が始まるんですが、むしろ、ゾディアック VS その他勢力といった総力戦を思わせる戦いの方が印象に残ります。
三つの勢力が立ち向かうとはいえ、連携をとらずにそれぞれが独自に動くような戦い方をするので、ゾディアックに勝てるわけがないと思ってたんですが、数の力は恐ろしい。独自の行動を許されているという「契約」による繋がりと、「仲間」という繋がりをもっての行動という差が、油断と言えないぐらい小さな綻びを押し広げていく展開は、面白いですね。
全部で四勢力が入り乱れる中、目に付くのは、因縁の対決ってやつで。父と息子の対決、「今泉学校」の理想を学んだ同士の対決、一等星同士の対立など、時に熱く、時に心を冷やされるようなシーンに、引きつけられました。神楽が熱き男だってのは、意外だったなあ。いや、やってることは悪でしかないんですが、一本筋の通ったところは、かっこいいと思いました。
個人的に印象に残っているのは、ゾディアック一等星の中でも、最強と言われるジュリアと相棒のミナーエフの物語ですね。
人生から逃げていった者同士が、手に入れた安堵と望んでいない地位の物語は、悲しみしか見えませんでした。自分たちの関係の歪みについては気づいていたと思いますが、それでも、あの最後の言葉を告げたときのミナーエフに、後悔はなかったと思います。闇の世界へと足を踏み入れたジュリアに、光ある世界を指し示した男の姿に、グッとくるものがありました。
そこいら中で繰り広げられる人間ドラマは、とても面白く、満足したんですが、主役であるはずの篤志が、ぜんぜん目立たなくなってしまったことや、あれほどの犠牲を払った適合者争いが、一人の死をきっかけに終わってしまう(ように思える)ところには、拍子抜けな感じもないわけじゃないです。
できれば、適合者をめぐる争いではなく、「変異種採集者」として、先輩たちや仲間と共に、世界中を冒険するような物語を描く続編が出てくれたら、すごい嬉しいんだけど……、だめ?
シリアスレイジ 7 (7)
白川 敏行
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