一辺一メートルほどの黒い立方体が、親父から送られてきた。何に使うのかさっぱりわからないが、「あの」親父が送ってきた以上、問題があるものであることは間違いない。撫でたり触ったりすると、喘ぐような声が聞こえる気がするが、幻聴に違いない。厄介ごとは放置しておくに限ると判断した春亮だが、やがて台所から人の気配が。恐る恐る覗いてみたら、そこには全裸で煎餅を食ってる女の子がいて……
人の負の思念(呪い)を受け続けることで、呪いの道具は人の性質を得ることがあって、「人のタメになること」をすると、呪いの浄化が促進されていくという設定で、その呪いの道具であるフィアの呪いを解くために、呪いを受け付けない体質である春亮と、呪いの道具で浄化されつつあるこのはが、奮闘するお話です。
知識の吸収こそ早いものの、まだまだ常識を知らぬフィアの言動に振り回される春亮の姿とか、春亮に親愛なる感情を持つこのはがフィアと嫉妬光線バリバリにやり合うところとか、ラブコメな要素がとても面白い。学校へ行けば、委員長オブ委員長の錐霞がツンデレを見せてくれるしで、和やかな雰囲気は、良かったなあ。
雰囲気が一変したのは、呪いの道具の存在を許さない「蒐集戦線騎士領」なる組織から派遣されてきた女・ピーヴィーが登場してからですね。小気味いいぐらいサドな言葉で、精神的に相手を傷つけていくところは、何とも残酷でした。自分が何の道具であったか、何をしてきたかを、春亮に知られて苦悩する姿は、読んでて辛かったですね。
春亮側の事情もさることながら、敵側にも物語があるってところが、結構良かったですね。ピーヴィーと後方支援員であるミイラ屋の間にある空気には、切なくも暖かいものを感じさせられました。だからこそ、あの一手は、胸が痛くなりましたけど!ああ……
自分のために他の人を巻き込んではいけないとするフィアに対して、春亮が掛けた言葉と行動に温かさを感じましたが、もうちょっと何かほしかったかなあ。ちとオーソドックスすぎたせいか、あまり印象に残らなかった気が。
最後の戦いについても、いまいち盛り上がりを感じなかったのは、説明がくどく感じたからかしら。委員長死亡フラグは、うわーと思ったけど、ボンテージで……ってところで、がっくし。「魔女式」だったら、きっと……な感じがあるだけに、あれにご都合を感じてしまうのは、僕ガイル。
楽しめたは楽しめたんですが、微妙にモヤモヤするものが残るのは、期待値が高すぎたのからかなあ。うーん。
C3-シーキューブ
水瀬 葉月
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