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[うえお久光] 悪魔のミカタ 666 (3) スコルピオン・デスロック 上

「私は今度の『紅白祭』、朝比奈側の赤組につく」
恕宇の言葉に、イハナは動揺した。この可能性を忘れていた。生徒会長選挙を兼ねた体育祭は、クラス対抗による決戦となってしまったのだが、綾のみならず、恕宇までもが、イハナと敵対する赤組についてしまったのだ。これからどうすべきか考え込むイハナに対して、恕宇はいう。きっと私の行動に感謝することになるぞ、と。
そして、紅白祭が始まったが……

生徒会長選挙を兼ねた体育祭の前半戦が始まるお話です。

いやー、面白い面白い。今回は、恕宇の一人舞台と言ってもいいぐらい、いろいろかき混ぜてくれましたね。敵対すると言い出したときにはどうなるのかと思いましたが、イハナが感謝するってこういうことか。あの電話を受けたイハナがどういう思いをしたか、想像すると、くすぐったくなります。

ですが、それ以上に恕宇やられたのはコウでしょう。今のコウに、あの賭けを持ち込むとは……。イヴな話で、ちょっと自分のリズムを崩していたように思いましたが、ここにきて復活しましたね。吹っ切れた恕宇の恐ろしさを垣間見ました。
このあとも要所要所で挑発してくれて、同じ男としてコウには同情する思い。いや、笑いまくりましたけどね。

いろいろ笑えるものがありましたが、始まってみたら紅白祭は、熱かったですねー。しょっぱなの生徒会長の挨拶からして、興奮させられるものがありました。グレイテストオリオンの影響だとはいえ、全校生徒が一丸となって、体育際で突っ走るってのは、経験したくなるものがあります。

まあ、周囲が燃えていても、頭の人たちは、何かと冷静なんですが、そんな中、得体の無さを存分に見せてくれるのが、菜々那でしたね。能天気なように見せかけて、計算づくしなものを感じさせるだけに、これから何を仕掛けてくるのか気になるところ。

個人的に一番印象に残ったのは、借り物競争の後のイハナとコウのやり取りですね。「数の力」を目の当たりにして不安に思っていたことが、下地になっているんだとは思いますが、やっぱり好きな人の前で、というのは、耐え難いものがありますよね。理不尽とわかっていながら、というイハナの本音には、切ないものがありました。

ただ、コウの心情を考えると、辛いものもあるから難しいです。「好きな人」という言葉が、コウにとってどれほどの重さを持つのか、たとえ、冗談であっても、動けなくなる姿を見たら、伝わってくるものがあります。
人を傷つけたとしても、望まれていなくても、自分の決めた道を歩もうとする姿が、ここにきて揺れる……のとはちょっと違うかもしれないけれど、重みを感じてきたみたいで、今までの道のりを思うと、心苦しいばかり。

このショックを引きずりながら、はたして後半戦を戦えるんでしょうか。イハナを応援したくとも、不安要素が増えてきて、どうにもドキドキです。続きとなる下巻が、とても楽しみですね。

悪魔のミカタ666〈3〉スコルピオン・デスロック〈上〉 (電撃文庫) - うえお 久光

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