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[日比生典成] 海をみあげて

10年前、浅霧町を襲った地震の直後から、町の上空を鯨が飛ぶようになった。姿は見れても触ることはできない鯨だが、潮だけはそのまま雨となって町に降り注がれた。そんな空飛ぶ鯨を見るのが大好きな真琴は、鯨が現れるとき、町にモーツアルトの交響曲が流れることに気づいた。いったい誰が曲を流しているのだろうと、散歩がてらに探しに行ってみることにしたが……

鯨が空を飛ぶというファンタジー要素があるものの、基本的には普通の日常を描いたお話ですね。素直になれない男の子と元気いっぱいの女の子のボーイミーツガールものです。ああ、いいなあ、この雰囲気。イラストから、七姫物語を思い出しちゃいますが、あの作品のカラカラの視点から描かれる雰囲気に近いものがあるんじゃないかしら。気球と車の話を聞いて、怪盗を連想する真琴が大好きです。

モーツアルトを流している場所を探す「鯨が空を泳ぐ町」、仲直りのために宝箱を捜す女の子のお手伝いをする「夏の宝箱」、気球で太平洋横断を目指す女性との「夢を乗せて」の三編を通して、始めは反発し合っていたふたりが、鯨や周囲の人たち、町の出来事などを通じて、意識する仲になっていくところは、ほんと良かったです。

鯨自体はそれほど話に関わってくるものでもないんですが、時折見せてくれる空のイメージの素晴らしさに、思わず空を見上げたくなるものがありましたね。真琴の目からはどんな景色が見えるのか見てみたいです。

鯨もうまく絡む一話目もいいですが、個人的には二話目の「夏の宝箱」が好きかな。小さな女の子のために、一生懸命になる真琴と、文句を言いながら断れない洋助のやり取りがいいんですよ。誰もが、洋助のツンデレっぷりにニヤリとしちゃうんじゃないかしら。周囲から見たらバレバレな態度が微笑ましいですね。

どの話も展開が読めてしまうところには、物足りなさを感じないでもないですが、読後感はさわやかですし、いろいろと想像させてくれる余韻も良かったです。続編があってほしいような、このままでいてほしいような、何とも不思議な気分。

海をみあげて (電撃文庫 ひ 4-2) - 日比生 典成

海をみあげて (電撃文庫 ひ 4-2)
日比生 典成

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Comment:2

海獺 2007-07-14 (土) 21:50

私も怪盗をイメージした真琴が大好きです。わりと淡々とした物語の中で、あの部分だけは思わずにやっとしてしまいましたよー。

deltazulu 2007-07-15 (日) 09:04

お、( ゜∀゜)人(゜∀゜ )ナカマー!
いいですよね!

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