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[久住四季] ミステリクロノ

ずぶ濡れになって泣いてた女の子は、不思議な注射器を持っていた。真里亜と名乗った彼女は言う、自分は天使だと。そして、これは時間を巻き戻す注射器だと。ありえないだろうと思っていた遥海慧だが、自ら経験しては疑いようがない。しかも同じように「時」に影響を及ぼすクロノグラフが、この街にあと六つも散在しているというのだ。幼馴染の武臣と夕凪の三人で、彼女の手助けをすることになったが、そんなとき、手元にあったクロノグラフが、何者かに奪われて……

地上へ落としてしまった時を操る「クロノグラフ」を集めるために、天使から人間にされた真里亜が、高校生の慧たちと出会って、というお話。と書くと、冒険ものっぽい感じがしますが、クロノグラフのひとつリザレクターを奪った犯人を追い詰めていく様は、素敵にミステリーでした。
今回はクロノグラフについての説明に結構ページを割いていたせいか、事件そのものは小粒な印象を受けましたが、今回のクロノグラフであるリザレクターの設定が、しっかりと作られてることを考えると、今後クロノグラフを利用したトリックとかがでてきそうで、ニヤニヤさせられますね。

説明にページが割かれていると書きましたが、だからといってつまらなくはないです。むしろ、説明をうまくキャラクタの魅力に絡めているおかげで、楽しく読めました。たとえ話って好きじゃないですが、いわば、慧はライトみたいなもんですよ。クロノグラフについて、わからないことがあったら、実験するところとか興味深いものがありました。

そんな慧と、人間が怖くて、何か辛いことがあるとすぐに怯えて泣いていた真里亜との間に、信頼関係が築かれていく展開が良かったなあ。特に最後、真里亜が恐怖に打ち勝つところは、慧を信頼していたからこそでしょう。このふたりの関係もまた魅力的です。

登場人物の魅力といえば、真里亜の事情を知って、その上で手助けしてくれてる幼馴染の夕凪と武臣もまた、いい味を出してますね。特にお嬢様でありながら、ミステリー現象には興味を示す夕凪あたりは、今後もいろいろ引っ張っていってくれそうです。ワトソン役だけじゃなく、メインな話もいつか読んでみたいですね。

ひとまず、ひとつのクロノグラフを手にしましたが、残り六つもあるわけで、ひとつ一巻ずつ進むのかな。それともまた別の展開を持ってくるのかしら。罪を犯す人は、決して異常ではなく、誰もが心にもっている怪物が動いたんだよ、というところに、微妙な不安を匂わせてくれますが、さてさて、どうなっていくのか楽しみですね。

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