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[三雲岳斗] アスラクライン 8 真夏の夜のナイトメア

夏休みに入ったが、特に出かける予定もなく、夏期講習を受ける毎日だった智春は、杏の誘いを受けて、ペンションでバイトをすることになった。何かと嵩月をくっつけようとする友人の樋口に辟易しながら、毎日を過ごしていたとき、逃亡中のアスラクライン・加賀篝を追って、智春のバイト先に宿泊していたアニアが、とある遺跡にたどり着いた加賀篝を発見して……

海辺のペンションでバイトをしていたら、このあたりに加賀篝が潜伏してるかもしれないという情報が入ってきて、さらに学生連盟のGDが現れて……というお話。

初っ端はいつもどいりラブコメ。玲子の気持ちが智春に向かっているかもしれないならば、先に他の人とくっつけてしまえばよいと奮闘する樋口の自分勝手さが、面白い。まあ、あそこまで露骨にやられてしまえば、樋口が何をしようとしているかはわかりますが、おかげで、今までにない意識を嵩月に持つようになって、嵩月の普通の言葉でも、思わず反応してしまう智春の動揺っぷりが楽しいですね。

とまあ、いつもながらのラブコメな始まりでしたが、中盤からは、前作同様重い話だったなあ。前作で知った衝撃的事実が、智春の心に傷を作っていて、動くに動けなくなる様が伝わってきます。これは辛いよなあ。人が傷つくかもしれないけど、助けるために動けば、操緒が傷ついてしまうんですから。こういうのは、引き起こされる人よりも、引き起こす人の方が辛いのかもしれない。

同じようなことは、嵩月にも言えますね。非在化自体、恐ろしいことだと思いますが、その中でも、心にある思いすら実感がわかなくなってしまうんですから、失った場合の空虚さは、並々ならぬものがあると思います。なるほど、こういうところにも世界観の謎が関わってくるんですね。

なんとも不安を煽る終わり方をしてくれましたが、はたして智春はどうするんだろう。義務感として動くのか(朴念仁にして鈍すぎるからありえそうな)、それとも別の道を模索するのか。知ってしまった以上、何からの動きは見せると思うけど、時間がないように思えるので、ドキドキです。

願わくば、智春には、先人たちのような切ない思いをしてほしくないですが……、ああ、どうなるんだろう。今回で出てきた鳳島の妹の契約者についても気になりますし、操緒の姉まで絡んでくるみたいなので、続きが待ち遠しいですね。

アスラクライン 8 (8) (電撃文庫 み 3-23) - 三雲 岳斗

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