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[支倉凍砂] 狼と香辛料 5

テレオの村を出て一週間。ホロとロレンスは、ホロの伝承が残るという町、レノスを訪れた。さっそく町の言い伝えや年代記作家を探したところ、思い当たる人は、町の代表者が集まる会議に出ているという。儲け話の匂いをかいだロレンスは、伝承を調べるとともに、町の噂も集めていた。そんな折に、同じ宿に泊まる女商人エーブから、大きな儲け話を持ちかけられて……

いやあ、すばらしい!やっぱり、このふたりのやり取りは最高ですね。ホロの甘い言葉に同様しなくなったロレンス……と思いきや、やはり一枚上手なホロが素敵です。とはいえ、ロレンスとてやられっぱなしじゃないところがいいですね。特に今回は、ホロが大いに動揺するような「魔法」をかけたりして、クーと言わされてしまいましたよ。二人の甘く鋭い駆け引きが、はじめから終わりまで続いてくれたので、ニヤニヤが止まりませんでした。これだけで、僕の中では傑作認定。

ホロのためにヨイツの伝承を探していたのに、儲け話の匂いがすると、ついつい動いてしまうロレンスにしかたないなあと思ってしまいましたが、それでも最後の一歩を踏み出さなせなかったところに、ホロの存在の大きさを思わせてくれましたね。そのことに気づいたホロの言葉は辛らつでしたけど。なるほど、守りに入るとは弱くなることでもあるんだなあと思った次第。
それにしても、ただの会話が、相手を推し量っていて、相手もこちらも推し量っているんですから、商人っていうのは、気の休まる時がないですね。

今回はホロのみならず、登場した女性がみな魅力的でした。エーブもそうでしたが、何といっても、名前すら出てこなかった酒場の娘さんが、素敵過ぎます。ああ、こういう女性がいたら、貢いでしまう男が出るのもわかりますね。華麗な切り替えしを食らったら、惚れ惚れしちゃうでしょう。ホロと娘さんの対決は見たかったなあ。もし描かれていたら、この作品は神と呼んで崇めてたかもしれません。

そんなこんなで、今まで楽しくやってきた二人だったのに、突然、ホロが溝を作るような言葉を投げかけてきたのは、今が楽しいからだこそだというところが、やるせない気持ちでいっぱいにさせられましたね。わかる、わかるけど、でも……と言いたくなる。だからといって、「でも」のあとに続く言葉はないんですけど。

気づいてしまったからこそ、ギクシャクする思いも生まれてしまったわけですが、それでいて、ホロにあのような言葉をかけたのは、ロレンスの優しさから生まれたものなんじゃないかなあ。意地悪にも思えるけど、それ以上に相手への思いが伝わってきました。
もはやこれまでかと思った後のラストに、にんまり。よくやった、ロレンス!取引における土壇場の急展開は、ちょっと物足りない……なんて思ってましたが、ロレンスの言葉と行動にやられてしまったので、文句なしです。いや、ほんと最高でした。まったく、ふたりとも素直じゃないんだから。

ぶっちゃけ、これで終わりになるのかと思いましたが(それでもいいぐらい素敵な最後だったし)、まだ続くようですね。ふたりの旅にまだまだ付き合えるのはうれしい限りです。続きがとっても楽しみ。

狼と香辛料 5 (5)  - 支倉 凍砂

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