世の中の全てに絶望し、他人に無関心なヒューイの住むイタリアの地方都市ロットヴァレンティーノでは、目撃者が次の犠牲者になるという「仮面職人」による奇妙な連続殺人事件が発生していた。そんなとき町にやってきたエルマーは、何を思ったのか「仮面職人」と町で噂になっている「とあるもの」について嗅ぎまわり、同窓のヒューイも、気づけば騒動に巻き込まれて……
まだ普通の人間だった頃のヒューイとエルマーの少年時代の出会いが描いたお話です。思ったほど尖ったものを感じなかったのは、普通の人間しか出てこなかったからかしら(極一部除く)。バッカーノ!シリーズには、いろいろ期待してしまうところがあるせいか、ちょっと物足りないかな。とはいえ、連続殺人事件の絡み合いから、二転三転する最後は、驚きの連続で面白かったですけど。
ともあれヒューイとエルマーの出会い。世界を憎むヒューイなだけに、世界を幸せにしたいエルマーの印象は、まるで宜しくなかったんですが、だんだんと彼のことを無視できなくなっていくところがわかりますね。クールなヒューイがエルマーに対してだけは、崩されてしまうところが何とも面白い。エルマーに恋心を抱くモニカの可愛くもストーカーちっくなところもまた楽しいですね。
個人的に好きなキャラクタは、エスペランサ伯爵。妙な方向にずれてるんですが、女性のために力を尽くすという態度も、ここまで徹底するといっそ見事です。どうみてもカッコよくないはずなのに、カッコよく感じるんだもんなあ。奴隷のように扱われていた女の子が、夢を見てしまう気持ちがわかりますよね。わかるだけに、切なくなるんですが。
時代のこともあって貴族が力を持つ町でしたが、どこか不穏な空気を感じると思っていたら、裏にそんな動きがあったとは驚きです。民衆の総意のむごさには、胸がむかつく思いでしたが、そんな中、笑顔のまま、他人の心に上がりこんで、風穴を開けていくエルマーの姿にすっとさせられました。いや、身近にいたら正直アレですけど。
後半のどんでん返しの連続には、驚きを隠せませんでしたが、ぶっちゃけ今回のお話だけでは、よくわからないところが多かった気がするのは僕だけかしら。いや、覚えてないところがあるってのが大きいのかもしれないけど。「1710」に向けての動きが結構あったように思ったので、そこで何が起こるのか楽しみですね。個人的には、モニカに活躍して欲しいんだけど……
バッカーノ!1705―The Ironic Light Orchestra
成田 良悟
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