小さなロッジを世話しているという四野田笑美に頼まれて、蒼衣と雪乃は、彼女と田上颯姫の妹が住む町で起きた泡禍による失踪事件を調べはじめた。だが、騎士を目指し、雪乃の名声に嫉妬する勇路は、事件の関係者を知っているにもかかわらず、雪乃たちに協力しようとはしなかった。自分たちの手で事件を解決すべく、颯姫の妹をつれて、動き出したが……
他のロッジから協力を依頼されて行ってみたら、情報を持っている勇路がまったく協力をせず、自分たちで解決するために邪魔をする始末ということで、ロッジも一枚岩じゃないんだなあと思った次第。
まあ、勇路の行動は、友人が絡んでいるということで、わからなくもないところもありますが、結局は、中学生にありがちな根拠なし自信が前面に出ているので、どうにも痛々しい思いです。特に、対応が遅れたことによって、更なる悲劇が生み出されていくところは、きついですね。もし協力していたら、あの子は……かどうかはわからないけど、想像するにやるせない。
今回のテーマは赤ずきん。寡聞にして知らなかったんですが、赤ずきんって二部構成の物語だったんですね。ってことは、そのあたりも考えての形になるのかな。
誰が「赤ずきん」や「狼」の役割を果たしているかはさっぱりわかりませんが、泡禍に巻き込まれた少女たちの関係も、なかなか歪んでいるところがあったので、この中の誰かであることは間違いないだろうなあ。さすがに情報が少なくてわかりませんけど(多くてもわかるとは限らないけど)。
毎回ちょっとした描写から不安を掻き立てるのが、うまいと思うんですが、今回もいろいろありましたね。初めて訪れた町の描写や、逆に感じなかった違和感とかにはゾクリとさせられること請け合い。「赤い髪留めの飾り」の一行なんて、ただそれだけの言葉なのに、不安から恐怖へと気持ちが変化させられましたよ。やめて、それ以上行かないでと思いながら、刃が光るところには、もう……
いつも以上に雪乃の容赦がないように思えますが、このあたりはまだよく見えませんね。上巻ってことで、まだまだ周辺話で終わってるからなあ。これから収束に向かうというよりは、まだ広がりきってない感じがあるので、これからどんな悲劇が待ち受けているのか、怖く思いながらも楽しみです。もちろん、いつものように童話の解釈も楽しみ。
断章のグリム 5 (5) (電撃文庫 こ 6-18)
甲田 学人
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