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[有川浩] 図書館危機

図書隊に入隊して一年十ヶ月が経つと昇任試験の資格が得られる。郁と共に資格を得た柴崎が、同じく資格を得て、しかも合格確実だろうと噂されている手塚から呼び出されたのは、昇任試験の一ヶ月前のことだった。
「子供への絵本の読み聞かせ」という実技テストは、子供相手を苦手とする手塚にとっては、絶望的なものであり、何とかコツを教えてほしいと、カワイイことを言いだしたので、アドバイスすることにしたが……

規制される本を守るための戦う図書館員たちの第三弾は「王子様卒業」「昇任試験、来る」「ねじれたコトバ」「里帰り、勃発」「図書館は誰がために」の五編からなる物語です。

王子様が誰か明らかになってからの郁の様子は、見ているこっちのほうが恥ずかしくなるぐらい乙女ビームが出てました。ぐるぐるぐるぐる思考がいったりきたりする様が笑えますが、同じように不器用な様を見せる堂上も笑えます。この似たもの同士め!
特に「王子様卒業」では、話の中身が嫌なものだっただけに、最後の王子様卒業宣言で、気分一新されました。ああ、もう、郁が可愛くて可愛くてしかたないです。

あらすじにもかいた「昇任試験、来る」もよかったですね。子供が苦手なのに、子供相手に読み聞かせをしなければいけないという実技に、愚痴を吐く手塚が、妙にかわいいぞ?対策を練るのに柴崎を頼るあたりに、堂上や笠原には知られたくないという、不器用なプライドを感じます。
っていうか、柴崎に言いように転がされてる手塚が可哀相になってきましたよ。ま、なんだかんだいって、仲間には優しいですけどね。……敵なら子供にも容赦しないことがわかりましたが。「柴崎さんに来てもらうわよ」には爆笑です。
ここでもまた、郁と堂上が甘い会話をしていたわけですが、個人的に印象的だったのは、階級章のカミツレの話でした。花言葉に込められた思いに、思わず背筋が伸びますね。

メディア良化法における違反語に焦点が当たる「ねじれたコトバ」は、人気絶頂の俳優、香坂のインタビューを担当した「新世相」の折口の記事に、香坂が反発してきたという話です。床屋という言葉が違反語に引っかかるという、ただそれだけのことですが、当事者からすれば、その言葉に込められた思いを否定されるような気持ちになりますよね。香坂の気持ちはよくわかりますし、同時にこの雑誌を検閲されずに出版させたいという折口の気持ちもよくわかります。

この問題に対して、玄田が示したウルトラCの回答が素敵過ぎですよ!法があるなら、その法を盾にする皮肉な手腕がたまりません。折口が玄田を信頼する様が実感できるお話として、個人的に大好きな一編です。さりげなく手塚が柴崎を意識するようになったのも見逃せないかな。

ちなみに「床屋」という言葉は、現在既に軽度の放送禁止用語に指定されているそうです。いつの間にか、自分の使いたい言葉が規制されているという恐ろしさを、しかもそのことをまったく知らなかったということを、実感させられました。
「そもそも違反語って決めたの誰だよ」
ほんとそう思う。

郁の故郷の図書館で展示される美術品を守るために、防衛員として特殊部隊からも応援に行くという「里帰り、勃発」と「図書館は誰がために」は、熱さと、怖さと、涙が伝わってくる図書館シリーズならではの攻防戦でした。
初めて銃を人に向けた郁の様子には心が痛みましたが、英雄になるためじゃなく、守るために、その手に銃を取ることを理解してくれる人がいた事には、じわりとくるものがありました。
それ以上に泣かされたのが、最後のシーンでしたが。あの場面で、涙を流したことは、決して恥ずかしいことじゃないと思っています。

むしろ、ここから図書館の危機が始まるんじゃないかという終わり方でしたが、残り一巻でどうやって決着をつけるんでしょうか。郁と堂上の恋の行く末は当然のことながら、柴崎と手塚の関係も気になりますよね。いつの間にか、柴崎がちょっと弱くなってきたのは、失いたくないものを手に入れたからでしょうか。このあたりがとても楽しみで、あーもう、待ちきれない!

図書館危機 - 有川 浩

図書館危機
有川 浩

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Comment:2

miyukichi 2007-08-04 (土) 15:45

 こんにちは♪
 TBどうもありがとうございました。

 玄田、カッコよかったですよね。
 しびれました^^

 「床屋」のことはびっくりしました。
 差別用語って、ほんと誰が決めるんでしょうね??

 サイン会、いいですねー。
 うらやましいです^^

deltazulu 2007-08-04 (土) 20:23

こんばんは。こちらこそ、TBありがとうございます。
玄田はカッコいいですよねー。ほんと好きなキャラクタです。折口との関係も大好きだったりします。

> 差別用語って、ほんと誰が決めるんでしょうね??
ほんと余計なお世話だと思いました。

サイン会は偶然近くでやることを知って楽しみにしてたので、有川さんにお会いできたときは、嬉しかったです。miyukichiさんも、いつかぜひ。

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