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[雨宮諒] シゴフミ2 ―Stories of Last Letter

毎日がかったるく、自分は消防士に向いてないんだろうなと思っていた桜井進は、昔の郵便配達夫を連想させる制服を着た少女と出会った。シゴフミを届けるという少女から受け取った手紙には、たった今火事で亡くなった少年からで、煙に巻かれている妹を助けて欲しいという。いくらなんでもありえないと思っていたら、そのとき署内を警報が鳴り響き、手紙の差出人がいる住所に火災が確認されて……

シゴフミを受け取った消防士の「英雄になる瞬間」、死んだ猫がシゴフミの差出人となる「青い空、白い猫。」、友人たちの間柄を取り持っていた少女の「キューピッド」という三編からなる物語です。

英雄になる瞬間
人がいるならば何を措いても駆けつける。そんな消防士を目指していたのに、いつの間にか輝きが薄れていた人が、シゴフミを受け取った事で、普段ならやらない無茶をして、人を助けるところは、何とも熱いものがありました。

ああ、いい話だなあと思いましたが、それだけで終わらず、一躍有名になり、シゴフミがあれば、さらに活躍できると、少しずつ仲間たちとの間に溝ができてくるところは、なんともイタイ。
シゴフミを利用するつもりはなかったのに、結果的にはそうなっていたというのは、考えが足りなかったからなんですよね。シゴフミに込められた思いについて、指摘する文伽の言葉の鋭さには、息を飲みました。

受け入れるには厳しいものがあっただけに、自分を認めさせようと躍起になる進の気持ちが伝わってきますが、後悔に後悔をのせて、それでも託した人の思いを受け止めたところは良かったです。
最後に文伽が投げた言葉は、悲しくも、素敵な贈り物だと思いました。

まさか猫が差出人になるとは思っていませんでしたが、「青い空、白い猫。」は、前作でもあったように、マヤマが主となるお話です。あの無表情キャラである文伽が、強がりながら仕事をマヤマに押し付けるあたりが楽しい。
まだまだ半人前のマヤマが、調子に乗ってしまうところには、あららとさせられますが、飼い主である少女とのやり取りは、辛いものがありました。なるほど、だから規則があったのか。こんなつもりじゃなかったのにと、後悔する猫とマヤマの気持ちはよくわかります。

決して適わない願いのために、ひたすら努力する少女の姿には、グッとくるものがありました。純粋にただ一つの事を願う姿は、見ているのがつらいです。
それでも、それだからこそ、また会えるよね、と思わせてくれる最後が良かったです。
またひとつマヤマが成長したこの話が一番好きだなあ。

トリを飾る「キューピッド」は、他人の間柄を取り持っているうちに、キューピッドと呼ばれるようになった愛が、新たな依頼を引き受けたけど、彼は自分も気になる人でというお話です。ある意味、非常にオーソドックスだと思うんですが、シゴフミが絡んでくると、こうも切なくなるとは思いませんでした。

手紙を貰って初めて自分の気持ちに気づくところって、何かわかりますよね。失って、とまではいかないまでも、誰の手にも渡っていないからこそ、まだ自分は勇気を出さなくて済むという言い訳が成り立つわけですから。

ふたりの気持ちの間で揺れるながらも、気づいたからにはと罪悪感を持ちながらも積極的に動く姿は、何とも好感の持てるものでしたが、それが相手を追い詰めることになっていたとは思いませんでした。

憎らしく思う気持ちを抱えながら、シゴフミの願いを叶えるキューピットの姿は、あまりにも切ないものがあっただけに、最後の涙がたまりません。

前作よりも哀しみ系の話が多かったのはちょっと残念ですが、登場した人たちは、きっと今回の経験で強くなっていくんじゃないかなと思えるところがよかったです。 ただ、個人的には、切なくとも温かい気持ちになれるようなお話のほうが好きなので、次はそんな話になってくれたら嬉しいな。

シゴフミ 2―Stories of Last Letter (2)  - 雨宮 諒

シゴフミ 2―Stories of Last Letter (2)
雨宮 諒

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