朝を迎えたオルレーユ城で、気分よく仕事をしようとするアリアには、まとわりつくような視線が向けられていた。先日の魔王事件で、体を乗っ取られたフォン・シュバルツェンが、早く何とかしてくれと訴えかけているのだ。だが、代わりの体などそう簡単に用意できないし、封印した魔王を解き放つ事はできないし、さてどうしましょう……?
というわけで、主人の留守を預かるバンシーたちが繰り広げるお話の第四弾。首だけとなったフォン・シュバルツェンの体を探すのかと思ったら、封じ込めた魔王を巡るやり取りになってました。いつものように、トファニアの悪戯というか、負けん気というか、そのあたりが原因になって、一騒動という展開ですね。
どうやってちょっかいを出していくのかと思ったら、また胸攻めしてくるあたり、思わず笑ってしまいましたが、何気にフォン・シュバルツェンも恨んでるのかしら。
案の定な展開からピンチになって、最後は最強の手段でというお約束っぷりは、ちょっと物足りないところもありますが、日常のちょっとした騒動っぽくて(というには大きい問題ばかりだけど)いいですね。サザエさんを見てるときのような安心感があります。
魔王騒動はともかくとして、今回はイルザリアが良かったですね。初めてブラドの城に来たときの話がなんとも素敵です。サキュパスなのに、男に近寄られると嫌悪してしまうイルザリアが、心を開いていったのは、ブラド卿の紳士的な態度もさることながら、オルレーユ城にいる面々の優しさや楽しさがあったからだろうなあ。
ブラドのアリアに対するツンデレにニヤリとさせられて、鳳仙花に込められたもうひとつの花言葉に、ちょっとジーン。
そんなイルザリアにおとずれたピンチを、いったいどうやって切り抜けるのかと思ったら、ウルトラCどころか、それでいいのか?的な解決案に、思わず拍子抜け。まあ、それはそれとして、仲間というよりは、もはや家族として、一人の女性を守ろうとする面々のやり取りは、温かいものを感じました。
個人的には、アリアとイルザリアのやり取りが、とても好きです。物語にまるで関係ないけれど、本を片付けようとするアリアと、無意識のうちに本を載せてしまうイルザリアの本の柱攻防とか、大好き。
それより何より、最後のやり取りは、かわいい意地の悪さとそれに引っかかった様子が、たまらなく愛らしくて、イヒって思っちゃいました。
大きな何かがあるってわけじゃないんですけど、安定した面白さがありましただけに、これが最終巻だなんて残念でなりませんが、次なる物語で、また出会えることを期待したいです。
お留守バンシー 4 (4)
小河 正岳
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