Home > ライトノベル > [成田良悟] 世界の中心、針山さん 2

[成田良悟] 世界の中心、針山さん 2

後ろに座っている少年少女が、タクシーに纏わる事件や怖い話をしている。そういった話が嫌いなタクシー運転手は、聞きたくないのについつい聞き耳を立ててしまっていた。怖い話をすると本物が引き寄せられるというが、回避策を知っているという少女たちは、話の途中で降りてしまった。
きっと何も起こらないと運転手は自分に言い聞かせていたが、気がつくと、ランドセルを背負っていた女の子が、後部座席に座っていて……

針山さんの周囲で起こる複数の話がどこかでリンクしあって、最後に繋がっていくという成田良悟お得意の物語ですが、初っ端の「たくしぃえれじぃ」からやられました。普通の都市伝説的なお話なのに、誰でも知ってるような話なのに、何ですかこの怖さは。思わずゾクゾクしましたよ。おかげで、一気に引き込まれました。

タクシーの都市伝説、無敵の下級戦闘員、殺し屋とゾンビ戦争、ヒーローの苦悩などなど、いろいろありましたが、個人的には「37564人の悲劇」の人間関係がとても好きですね。
ザコキャラの立場のはずなのに、ヒーローすら余裕で打ち破れるという、圧倒的戦闘力を持ってしまった下級戦闘員のお話ですが、強すぎるが故に、組織の仲間からも恐れられてしまう孤独が切ないです。

孤独と、何をすべきかわからないという焦りのような、諦めのような、そんな感情を抱えていただけに、女戦闘員シルクとのやり取りは、温かいものを感じました。
思わず、自分の苦悩を話してしまったのは、辛いからという事もあったでしょうけれど、相手の優しさを感じたからなんでしょうね。それを情けないと思う気持ちはわかりますが、相手からしたら嬉しかったでしょうね。

彼女を守りたいという気持ちが生まれるのは、ごく自然のことだと思いますが、そのことが逆に悲劇になるというのは、何とも残酷でした。生きる理由を失くしそうになったときの叫びの大きさがわかるだけに、応えた総統の言葉が胸に響きますね。
「あのマークは、まだ消したくない……」
思わず、心に熱いものが生まれました。

心にあった熱いものを、大きく燃え上がらせてくれたのは、トリを飾る「柏木クロスの真っ赤な死」の撃滅戦隊というヒーローのお話でした。
ヒーローでありながら、悪の組織の下っ端にやられて落ち込んでいたときに、追い討ちをかけるような事実は、心の支えを根本から砕くものであっただけに、普通だったら立ち直れなかったでしょう。
それでも、子供たちのためにヒーローたらんと、格好をつけるクロスの心にやられました。熱いよ!熱すぎるよ!

複数の物語が収束していく、いわゆるカタルシスみたいなものは、前作ほどではないかもしれませんが、ひとつひとつのエピソードや次に繋がっていくという点については、今回のほうが良かったと思います。
いやあ、面白かった。
次は針山さんの周りで、どんな出来事が起こるのか楽しみですね。

世界の中心、針山さん 2 (2) - 成田 良悟

世界の中心、針山さん(2)
成田 良悟

メディアワークス(文庫)
Amazon | bk1


booklines 関連エントリー
成田良悟 / 電撃文庫 / ライトノベル

Home > ライトノベル > [成田良悟] 世界の中心、針山さん 2

Trackback:3

TrackBack URL for this entry
http://www.booklines.net/mt/mt-tb-t.cgi/1443
Listed below are links to weblogs that reference
[成田良悟] 世界の中心、針山さん 2 from booklines.net
世界の中心、針山さん(2) 感想 from ライトノベル・漫画が好き☆ 2007-02-15 (木) 00:04
世界の中心、針山さん 2 (2)成田 良悟 メディアワークス  埼玉県所沢市に住むその男の名前は針山真吉。眼鏡をかけて憎めない顔をしている普通の人。...
世界の中心、針山さん(2) from Alles ist im Wandel 2007-02-16 (金) 01:04
世界の中心、針山さん 2posted with 簡単リンクくん at 2007. 2.16成田 良悟〔著〕メディアワークス (2007.2)通常24時間以...
世界の中心でバーベキューを。【世界の中心、針山さん 2】 from ラノベなPSP 2007-02-17 (土) 14:12
ちょっと読むの遅れてしまいましたが。 [http://www.bk1.co.jp/product/2750247/p-holyknight1146 世界...

Comment:0

Comment Form
Remember personal info

Home > ライトノベル > [成田良悟] 世界の中心、針山さん 2

Search
お気に入り

異形の王子と毒を吐く少女の恋の物語

4048700588

他人を寄せつけぬ毒を載せた言葉を吐いていた少女が、王子と伝承と出会ったことで、信じる思いを紡ぐようになる、その祈るような思いに涙しました。懐かしき人たちとの再会もまた素敵。→感想


それは血の繋がらない家族の物語。

4048700480

大きな山や谷があるようなお話しではないんだけれど、クセのある七人のきょうだいが共に暮らすその家には、じんわり温かい家庭がありました。それぞれ抱えているものはあるけれど、この家族ならきっと支え合いながら乗り越えてくれると信じてる→感想


それは「夢利き」が語る人の夢の物語。

夢の上(1) 翠輝晶・蒼輝晶 多崎礼

最高傑作級!辛くとも好きな人と共に歩める幸せ、あるいは人の夢に乗る幸せと切なさ。独立しながら、リンクする物語は、温かさに、人を想う気持ちに満ちあふれて、胸が熱くなる。人が人と出会うことの素晴らしさは、時に眩しくもあり、切なくもなるんだなと思いました。→感想


江戸時代。新たな暦を作る偉業を成し遂げた渋川春海の物語。

天地明察

最高傑作!碁打ちであり、算術家でもある男が、打ちのめされ挫折して挫折して挫折して、でも夢を忘れられず、立ち向かう姿に、どれほど興奮させられたか、泣かされたことか!さりげなく描かれる恋も素晴らしく、読み終わりたくないとこれほど思った作品はありません。 → 感想


左遷された北嶺で隠居生活を堪能しようとした史官ヤエトの前に、皇女が太守としてやってくるお話。

翼の帰る処 上 (1) (幻狼FANTASIA NOVELS S 1-1)翼の帰る処 下 (3) (幻狼FANTASIA NOVELS S 1-2)

中間管理職的苦労に悩まされるヤエトの姿がとても楽しいですが、それだけじゃなく、北嶺と帝国の歴史的秘密が見えてくる展開に興味を惹かれること請け合い!超オススメです!→上巻感想 / 下巻感想


普通の社会人であるこかげが、異世界の騒動に巻き込まれるお話。

wonder wonderful 上wonder wonderful 下

やさしさで涙する物語でした。あ、もう最高!王宮話やら恋愛要素やらも非常に楽しく、読み進めるにつれてゴロゴロ転がりまわりたくなること必至です!今年一番のオススメ!→感想 上/ 感想 下

なかのひと

Page Top