目が覚めたら、リクライニングシートに座らされていた。周囲にはクラスメイトがいるが、教室ではない。正面にある大きな液晶画面には、ソフィアと名乗る人物が状況を説明してた。
「地球は核戦争で荒廃しました。ここにいれば安全です。暴力を振るわないこと、ここにいることの二点を守れば、ここから追放されることはありません」
その言葉に引っかかるものを覚えた紀之は、支給されていたブレスレットを外し、ソフィアの庇護から外れたが……
部屋から出たら安全は保障されない。部屋にいれば食事に困ることはない。娯楽もある。一日一回支給されるトランプのカードは、買い物や敵対するものと戦うための武器になるなど、シチュエーションは、ワクワクさせられるものがありましたが、話としてはあまり面白いものじゃないかったです。
閉ざされた部屋の中で、徐々に病んでいくクラスメイトたちの様子や、仲間と思っていた人たちの傲慢さ、逆に卑屈なところなど、人の嫌な部分がとてもいい感じに出てるんですが、それだけなんだもんなあ。特に主人公の斜の構え方は、単なる甘えにしか見えないし、嫌なことがあると逃げるしで、いいとこなし。こういうのを中二病とか言ったりするのかしら。
人間関係を使った戦略シミュレーションという発想はいいなと思ったんですけど、戦略ってほどのものがあまりないので、う~ん。考えてるようでわりと場当たり的だし。まあ、やることは単純なので、むしろいかに人間関係を作り上げていくかという方面が重要になっちゃうと、どうもね。
「青い天使」からのお話はいい感じだったんだけど、また繰り返しちゃうのか……。結局前に進もうとしないので、何か救えない。典子の失敗は、紀之を連れて帰ったことですね。あれがなかったら、何とかなっただろうに。
部屋の中と外で、うまいぐあいに心理戦とか始まるのかと思いましたが、そんなこともなく、言うなれば「閉鎖された空間で、エサを与えられた人間はどういう行動をするか」というだけのお話って、印象でした。
いろいろできそうなのに、全部が全部中途半端な感じだったので、すんごいもったいない気分。リアルといえばリアルなんですけど、僕には合わなかったってことかな。
第13回電撃小説大賞金賞受賞作。
扉の外
土橋 真二郎
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Comment:6
- hobo_king 2007-02-11 (日) 21:43
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お世話になります。
感想としては私のものと真逆な感じですが、その辺り特に面白く、興味深く読ませて頂きました。
・・・それにしても素晴らしい読書量です! - deltazulu 2007-02-12 (月) 11:01
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真逆でしたねぇ。感想を上げたあとに読ませていただきましたが、こういう捕らえ方もあったんだなと思いました。次にこの著者の作品を読むときは、ちょっと視点を変えてみようかと思います。
>それにしても素晴らしい読書量です!
量だけですから(笑)
- hobo_king 2007-02-12 (月) 12:54
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>量だけですから(笑)
そんな事だけはどう考えてもここのブログ見ている人は誰一人として思っていないと思いますよ。
感想の構成や着眼点、読書中に感じた事の表現力を維持している事こそが恐るべき事です〜。
- deltazulu 2007-02-12 (月) 23:14
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自分ではよくわからないんですが、そう言っていただけると嬉しいです。ありがとうございます。
これからも、同じようにやっていけたらいいなと思っておりますので、よろしくお願いします。
- maroyaka 2007-03-23 (金) 14:55
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これは読んだ物語を自らより深く反芻するような人や、もしくは発想能力、それに順ずる読み解く力を持っている人にはとても面白い作品だと思います。
普段から考えるということをしていれば、自分の中で物語が膨れ上がってそして期待通りだったり裏切られた展開がより興味深く感じられます。
個人的には面白かったのですがもう少し最後に展開がほしかったというか、もっと読み解く力が欲しいと感じました。 - deltazulu 2007-03-23 (金) 20:30
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ああ、なるほど。そういう視点だと、また違って見えるのかもしれませんね。
僕は普段感じるままに読んでるだけなので、合わなかったのかもしれません。






