Home > ライトノベル > [近藤信義] ゆらゆらと揺れる海の彼方 7

[近藤信義] ゆらゆらと揺れる海の彼方 7

エレオノーラは、もはや呼吸しているだけに過ぎない。それでも、せめて陛下が間にあってくだされば、と願うシュニッツラーだが、どんなに急いでも、伝令がシグルドに合流し、そこから三日はかかる。素人判断でも望み薄だと思う感傷がそうさせたのか、シュニッツラーは、エレオノーラが零したギュンターなる人物に纏わる過去を、オスターデに語り始めた。
それは、かつてロットヴァイル皇国で起きた内乱、七皇戦争の終わりも近いころ。ジグルドが18のときのことで……

本編で話には出た(らしいけど覚えてなかった)七皇戦争の詳細と、ただの平民で心優しきジグルドが、なぜ剣を持つことになったのかという、ジグルドの始まりが描かれる物語です。7巻となっていますが、実際のところは番外編です。本編が終わってないのに……と思いつつ、読み進めれば、そこは群雄割拠な物語。いいですね。

目の前で起こった悲劇を繰り返さないためにと、ギュンターが立ち上がって作った義勇軍ですが、普通であれば、鍬や鉈しか持ったことがなかった人間が、そう簡単に用兵としてやっていけるわけがなく、実際のところ、見ていて危なっかしいところが多くてドキドキしますが、乗り切れたのは、ぼうっとしているように見えて、戦略に長けていたジグルドがいたからでしょうね。
他人の視点から描かれているだけに、ジグルドの大器を感じさせてくれます。

このときに、ジグルドたちは、エレオノーラたちと出会ったのかと、意外さはありましたが、このころから、エミリアは一歩下がってたんだなあ。ひょっとしたら、エレオノーラはギュンターを、と思わなくもないですが、このあたりは後々語られるんでしょうか。気になりますね。

義勇軍が如何にして成り上がっていくかという展開は、心踊るものがありますが、敵というか味方がしょぼすぎるのが、ちょっと物足りないです。あそこまで短絡的じゃなあ。だからこそ、特権の腐敗とは恐ろしいと言えるんでしょうけれど。
まあ、これは現在の義勇軍のレベルに合わせてるところもあるでしょう。強くなれば強くなるほど、敵も強くなってくるでしょうから、このあたりは、少しずつ目立ってきた義勇軍の今後の戦いに注目したいところ。
過去は敵だった人が、如何にして味方になったのかというあたりも、語られると嬉しいですね。

ちなみに、あとがきでは、なぜかクローデットの側にいる使用人のエマについて著者が語っていて、そこで、ノウラとクローデットとエマがお茶飲み話をしているシーンが描かれています。ここでノウラが見れる嬉しさもありますが、読んだらにやりと頬をゆるめること間違いなしです。エマの愛情たっぷりな意地悪をとくとごらんあれ。

ゆらゆらと揺れる海の彼方 7 (7) (電撃文庫 こ 7-7) - 近藤 信義

ゆらゆらと揺れる海の彼方 7 (7) (電撃文庫 こ 7-7)
近藤 信義

メディアワークス(文庫)
Amazon | bk1


関連エントリー
[近藤信義] [電撃文庫] [ライトノベル]

Home > ライトノベル > [近藤信義] ゆらゆらと揺れる海の彼方 7

Trackback:2

TrackBack URL for this entry
http://www.booklines.net/mt/mt-tb-t.cgi/1357
Listed below are links to weblogs that reference
[近藤信義] ゆらゆらと揺れる海の彼方 7 from booklines.net
ゆらゆらと揺れる海の彼方 7/近藤信義 from ラノベ365日 2007-01-13 (土) 03:02
ゆらゆらと揺れる海の彼方 7近藤 信義 メディアワークス 2007-01-06by G-Tools 【シグルド。18歳。小さな村の青年に過ぎなかった彼は...
ゆらゆらと揺れる海の彼方(7) 感想 from ラノマンガER 2007-02-12 (月) 20:27
ゆらゆらと揺れる海の彼方 7 (7)近藤 信義 メディアワークス 2007-01-06by G-Tools

Comment:0

Comment Form
Remember personal info

Home > ライトノベル > [近藤信義] ゆらゆらと揺れる海の彼方 7

Search
お気に入り

異形の王子と毒を吐く少女の恋の物語

4048700588

他人を寄せつけぬ毒を載せた言葉を吐いていた少女が、王子と伝承と出会ったことで、信じる思いを紡ぐようになる、その祈るような思いに涙しました。懐かしき人たちとの再会もまた素敵。→感想


それは血の繋がらない家族の物語。

4048700480

大きな山や谷があるようなお話しではないんだけれど、クセのある七人のきょうだいが共に暮らすその家には、じんわり温かい家庭がありました。それぞれ抱えているものはあるけれど、この家族ならきっと支え合いながら乗り越えてくれると信じてる→感想


それは「夢利き」が語る人の夢の物語。

夢の上(1) 翠輝晶・蒼輝晶 多崎礼

最高傑作級!辛くとも好きな人と共に歩める幸せ、あるいは人の夢に乗る幸せと切なさ。独立しながら、リンクする物語は、温かさに、人を想う気持ちに満ちあふれて、胸が熱くなる。人が人と出会うことの素晴らしさは、時に眩しくもあり、切なくもなるんだなと思いました。→感想


江戸時代。新たな暦を作る偉業を成し遂げた渋川春海の物語。

天地明察

最高傑作!碁打ちであり、算術家でもある男が、打ちのめされ挫折して挫折して挫折して、でも夢を忘れられず、立ち向かう姿に、どれほど興奮させられたか、泣かされたことか!さりげなく描かれる恋も素晴らしく、読み終わりたくないとこれほど思った作品はありません。 → 感想


左遷された北嶺で隠居生活を堪能しようとした史官ヤエトの前に、皇女が太守としてやってくるお話。

翼の帰る処 上 (1) (幻狼FANTASIA NOVELS S 1-1)翼の帰る処 下 (3) (幻狼FANTASIA NOVELS S 1-2)

中間管理職的苦労に悩まされるヤエトの姿がとても楽しいですが、それだけじゃなく、北嶺と帝国の歴史的秘密が見えてくる展開に興味を惹かれること請け合い!超オススメです!→上巻感想 / 下巻感想


普通の社会人であるこかげが、異世界の騒動に巻き込まれるお話。

wonder wonderful 上wonder wonderful 下

やさしさで涙する物語でした。あ、もう最高!王宮話やら恋愛要素やらも非常に楽しく、読み進めるにつれてゴロゴロ転がりまわりたくなること必至です!今年一番のオススメ!→感想 上/ 感想 下

なかのひと

Page Top