塾のおんぼろエレベータは四人を乗せて途中で止まった。外部に連絡を取ろうとしても繋がらない。
見知らぬ者同士に不満を言っていたとき、それは聞こえた。ドンドンという音。
いる。エレベータの天井に何かが。
やがて穴が開き、現われた白いもの。
本来なら、数秒間同じ空間を共有するだけの、名もない通りすがりで終わるはずの四人の物語が始まった……
いきなり引きつけられるサスペンスな出だしが素晴らしい。
このサスペンステイストをもっと続けてほしかったなあというのは贅沢でしょうか。
話の内容からするとちょっと難しいかもしれないけれど。
そんな序盤を超えたら描かれるのは人間ドラマ。
己の立場を自覚している者としていない者の葛藤がいい感じに対立している。
もっとドロドロした関係になればさらに面白くなったのではないかと思いました。
次作以降どう成長してくれるのか楽しみですね。
第12回電撃小説大賞金賞受賞作。
哀しみキメラ
来楽 零
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