「逃げてくれ、綾子。でも今だけはここにいてくれ」
武巳は言った。
「今だけは逃げないでくれ。まだ……おれは近藤武巳だよな……?」
その雰囲気から「魔王陛下」とあだ名される空目恭一と、彼に魅せられたものが、現実と異界の狭間で起きる出来事に巻き込まれるシリーズの第十三弾。神降ろしを画策する魔女と、それに立ち向かうものたちを描くシリーズ最終巻です。
前巻で武巳の身に起きたことが何かと思ってたら……そうくるか。平凡だからこそ利用される彼はほんと災難だなと思うけど、それでも亜紀に比べたら……と思ってしまう僕がいる。
自分の身に降りかかった呪いを伝染させる。それがはっきりと見えてくるシーンは、ゾクっときました。「42件です」のところなんてもう!
やっぱり人の心って怖いと思うばかり。
あの状態でも耐えた彼女のプライドは、とても誇っていいと思いますが、その隙をついて混乱を招く魔女はさすがというべきでしょうか。
魔女の得体の知れなさは最後まで変わりませんでしたが、個人的に印象が変わったのは、魔術師の戦いですね。人を人とも思わず利用していましたが、ある意味、彼は自分の挑むもののために妥協をしなかったとも言えるわけで。
巻き込まれた人は災難としかいいようがないですが、人あらざるものに立ち向かった姿は、とても心に残りました。
それにしても、最後まで読んで、どうにも、もやっとするものを感じるのは……彼にとってはハッピーエンドなのかもしれないと思える終わり方だったからでしょうか。ほかにも道はあったのかもしれませんが、それではたして幸せになれるかといったら……難しそうだもんなあ。
納得はできるけど、だからといってしっくりくるわけではなく。つまりは、もやもやする。そんな感じの終わり方でした。
Missing〈13〉神降ろしの物語・完結編 (電撃文庫)
甲田 学人 翠川 しん
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