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パラケルススの娘(10) 永遠に女性的なるもの / 五代ゆう

「ここから先は、本当に—お前、独りになる」
「違うよ、ジンジャー」
はっきりと、遼太郎は言った。
「僕がここまでやって来られたのは、みんなのおかげだ」

魔物退治を生業としている由緒正しき家系・跡部家の跡取りでありながら、まるで力を持たなかった遼太郎が、自称「パラケルススの娘」男装の麗人、魔術師のクリスティーナのもとへ修行に行き……19世紀のイギリスを舞台にしたシリーズの第十弾。反撃がクリスティーナの死に繋がる、<魔術師シモン>との対決が描かれる最終巻です。

いきなりの地獄絵図にどうなるのかとドキドキ。もう絶体絶命もいいところで、シャルロットなんてあきらめの境地になってましたが、さまよえるユダヤ人なる者によって、わずかな時を稼いで貰って。一度は退き、クリスティーナのために、みんなのために、ただひとりで、でもみんなの支えを受けて立ち向かう遼太郎の姿はもう……ヘタれなんて言えないよ。
子供に任せるなんてと遼太郎がひとりで動くことにずっと反対していた頑固な、あの頑固なリース警部が、送り出すときのシーンは、じんわり涙が浮かぶ。

<女主人>が必死になって英国の崩壊を抑え込み、<母たち>の絶望的な孤独を切り抜けて、神になろうとする魔術師の甘言を退けた遼太郎は、本当に凄かったけれど、個人的に一番格好いいと思ったのは、バ(略)こと、アレックスでした。好きな人のピンチだから、わがまま坊ちゃんなら、誰よりも動きたかったろうに、力不足を実感して抑え込む勇気は、立ち向かう遼太郎をどれほど力づけたことか。大人になった彼をみて、でも、すべてが終わった後もつい憎まれ口をたたいてしまうような、素直じゃないところは、未だ健在してて可愛く思えました。
日本に戻ることになる遼太郎たちと、いつかきっと出会えたら、成長した姿を見せ合うことが出来たらと願いたくなります。

そして素直になれないと言えば、クリスティーナですよね。死を覚悟して、それでも遼太郎だけはと思って戦ったあと、目覚めた彼女が全ての事情を知ったとき、どんな思いになったことかは、戸惑いを見れば充分わかります。尊敬する人の死を知り、自分の選択は間違っていなかったかを迷い、それでも頑固者の言葉は、大いに勇気づけられたことでしょう。その後の世界に何が起きたかを知れば、人間の愚かさを痛感するかもしれませんが、でも生きていれば……ね。

愛し、守り続けようと決意した男の頑固さが見られる終わり方が、とても素敵でした。あー面白かった。

パラケルススの娘 10  (MF文庫 J こ 2-10) - 五代ゆう

パラケルススの娘 10  (MF文庫 J こ 2-10)
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