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好き、だった。―はじめての失恋、七つの話―

「今思えば、俺の若い頃の失恋は、甘ったるかったなぁ。ただ行き違っただけ、タイミングが合わなかっただけ。きっと本当の失恋っていうのは……」
「人生が枯れて、恋そのものを失うこと」
「ほんと、俺なんて人間に恋したカバの気分だよ」

有川浩「失恋の演算」、朝倉かすみ「ノベライズ」、梨屋アリエ「Fleecy Love」、石原まこちん「タフママーンを探して」、吉野万理子「マリン・ロマンティスト」、紺野キリフキ「とげ抜き師」、宮木あや子「はじめてのお葬式」の七編が収録されています。

失恋ものということで、どんなに切ない話になるのかと思ったら、前を向いて終わるお話が多くて、ほっこりした。いえ、もちろん寂しかったり、辛かったりするんですけど、読後感いいお話が多かったです。

特に良かったのは、有川さん。まあ、有川さんは贔屓目入ってると思うけど(大好きなので)、兄の婚約者を好きになってしまった双子の弟が、思いを断ち切るまでのお話には、失うことの辛さもあるんだけど、それを感じさせないぐらい、いい兄弟ものでもあって、とてもよかった。

この他、不倫や、親友ともいうべき同姓に思いを寄せていた女子高生、漫画家同士の話は恋とは違うと思うけど、二回り年下の部下を意識する社長、身体に生えてくるとげを抜く人と抜かれる人の話、そして好きだと意識した矢先のお葬式という話が収録されていますが、その中でのお気に入りは、歳をとってもロマンティストな社長が出てくる(でもお似合いは二回り年下の部下ではなく、いつも一緒にいる部下だよなあとか)「マリン・ロマンティスト」と、ものすごい独特な雰囲気で、不気味ささえ漂わせながら官能も見せる「とげ抜き師」。このふたりは、いつか別の作品を読んでみたい。

そして忘れてはいけないのが、宮木さん。好きになったクラスメイトが転校後に事故で……自分の心がどうなっているのかよくわからないまま、葬式へ行き、初めて涙をするシーンやその後の無感動となっていくところに、感情の揺れ具合が見えて、胸が痛くなりましたが、そのままだったら心ごと持っていかれそうな女の子を引き止めたのが、彼を思う気持ちを打ち明けることだったという展開がよかったです。
彼女はきっとこのときの気持ちを忘れることはないと思うけど、恋をすることに臆病にはならないんじゃないかなと、そう思いました。

好き、だった。 はじめての失恋、七つの話。(MF文庫ダヴィンチ) (MF文庫ダ・ヴィンチ) - 有川浩 朝倉かすみ 梨屋アリエ 石原まこちん 吉野万理子 紺野キリフキ 宮木あや子

好き、だった。 はじめての失恋、七つの話。(MF文庫ダヴィンチ) (MF文庫ダ・ヴィンチ)
有川浩 朝倉かすみ 梨屋アリエ 石原まこちん 吉野万理子 紺野キリフキ 宮木あや子

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