行ってみたい。でもここにいたい。せめぎ合うのはいつもその二つの気持ちで、どっちを選ぼうとしても私はとても不安な気持ちになる。あとは自分の気持だけだとわかっているのに、どちらにも踏み出せない。
吉野北高校の図書委員を舞台にした青春物語の第三弾は、好きと友達の境界線についてのお話でした。
ああ、もういいなあ、この雰囲気。
受験を間近に控え、図書委員を引退したけど、勉強のために、そしていつものメンバーと会うために、図書室通いが続いてる三年生たちの姿がいいなあ。こういう、なんていうか、戻ってこれる場所があるっていいですよね。
そんな中、かずらが好きだという大地の友人・小鳩が出てくると、面白いことになってくるんだ。外部からの刺激でこうも揺れ動くのは、意識してしまうものがあるからなんだろうなあ。
特に、かずらは、図書委員のみんなは仲間という意識が強くて、好きという気持ちにまで至ってなかったから、押して来る人がいると……ね。距離が近すぎるが故に困り、改めて傍にいる人を見つめ直していくところが良かった。
一方の大地は、これまでいい男っぷりを見せてくれてたけど、かずらに対しての思いってのが見えて、ああ彼も普通の男の子なんだなと思った次第です。嫉妬は好きという感情以外からも生まれるものなんだよね。それはきっと、人間の小ささではなく、変わってしまうことへの怖さだと思う。
でも、ちゃんと向きあって話しあえば……ね。大事なもの、大切な思い。これから先、いろいろなことがあるだろうけれど、きっといま心にある思いは、変わらないんじゃないかと、そう思わせてくれるラストが素敵でした。
いやあ良かった。このシリーズはどこまで続くのかわかりませんが、受験の結果と、かずらの答えが聞けるまでは、続けて欲しいな。
吉野北高校図書委員会3 トモダチと恋心(MF文庫 ダヴィンチ) (MF文庫ダ・ヴィンチ)
山本 渚
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