「任侠を、小説にしてみようと思うんだ」
広げた原稿用紙をたたみながら、ぼくはそう告げた。
「だけど任侠がいったい何なのか、ぼくにはまだわからない。だから、きみのそばで見届けようと思う」
彼女はぽかんとした表情でぼくを見た。
「……いっしょに、いるつもりなの?あたし、ヤクザだぜ?」
「きみがヤクザじゃなきゃ、取材にならない」
偏差値70オーバーの五十嵐真太郎が、ヤンキーばかりが集う公立毒マムシ学園に転校したのは、幼なじみの権田原凛子が通っているという噂を聞いたからだった。頭は良くとも力はない真太郎は、おとなしく学園生活を過ごそうと思っていたのに、ヤンキーたちのくだらないボケに思わずツッコミをいれたら、貴重なツッコミ要員として崇められてしまうことに!そんな折りにようやく凛子と再会したら、なんと彼女は学園内の極道の女親分になっていて……というツッコミ満載の痛快学園物語。
これは楽しかった!
いや、設定からしてツッコミどころ満載だし、いくらなんでもバカバカしいすぎるだとと思うようなシーンが多いんだけど、読まされてしまうし、何かこう、胸に熱いモノがきてやられてしまいますね。やば、なんだこの面白さは。
休み時間ごとに流血沙汰のケンカは当たり前なのに、授業だけはきっちり受けるという変なルールがある学園で、ほんとにくだらないボケばっかりだから、思わず真太郎がツッコんでしまうのもよくわかります。それにしても、ツッコミやら何やらで、気づけば、四天王をひとりずつ籠絡していく展開は楽しくてしょうがない。
凛子との再会してからは、どちらかというと彼女に対する「裏切り」を責める描写が多くて、ちょっと居心地悪かったんだけど、でもそれは、どちらかというと、嫉妬やら何やらの入り交じったものなんですよね。
ヤンキーではなく、ヤクザの親分になった彼女が語る「任侠」を理解しようとするところに、複雑な心の内を感じました。
また凛子が可愛いんだなあ。裏切ってしまったという思いがあるから、普段は惚れ惚れするよな啖呵なのに、真太郎を前にすると恐る恐るって感じになって、、でも彼のことが気になるから、何かと近づくきっかけを探してるところに、乙女心を感じるばかり。
真太郎に気づけよ!と何度言いたくなったことか。
まあ、こういうお話で、ハーレム状態になっても気づかないというのはお約束ではありますが、いろいろなイベントをこなしながら、気づけば、バカにしていたヤンキーやヤクザたちの思いを理解していき、彼らが言葉にできなかった胸の内を言葉にして、閉鎖的で格差のある学園をひっくり返そうとする展開が熱かった。
バカだけど、とても熱い。そんな不思議な物語でした。
第5回MF文庫J新人賞審査員特別賞受賞作。
ごくペン! (MF文庫J)
三原 みつき
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- 著:三原 みつき イラスト:相音 うしお(こもね) 「無茶言わねえでくだせえ!九九が難しすぎる!」 「五の段は簡単なんだけど、六の段が壁だよな」 「六と...







