「担当命令よ!孝一くん、明日から徹底的に『萌え』の魅力を特訓してあげるから!」
『萌え』の特訓って、どんなの……?
不安顔の僕の前で、萌花さんはニヤリと不敵な笑みを浮かべる。
「萌え死んだって、知らないんだからね」
いちせさんが「最高傑作級ぅぅぅぅぅっっっ!!」といってたので読んでみた。
新人賞を受賞したデビュー作がまるで売れず、二作目の企画も突っぱねられた高校生作家・時任孝一がライトノベルを書くことになったけれど、萌えがまるでわからない。そんな彼を出版社の社長の娘でありクラスメイトでもある三流木萌花が、萌えを理解させるべく担当編集となっていろいろ実践しながら、ライトノベルを作り上げていくお話です。
これは楽しかった!
文学賞を受賞した萌えを知らない少年に、萌えを理解させようと努力する萌花の奮闘にニヤニヤが止まらない。朝起こしに行ってみたり、お弁当を作ってあげたり、ツンデレたりと、お約束なことを健気に実施しても、ことごとく通じないから、もうね、やばかったです。頬がゆるみっぱなしでした。あーん、とかたまらないですね。
そんなことをされても、恥ずかしいと思うことばかりの孝一でしたが、ふとした瞬間に、胸キュンするから、また楽しいんです。萌えってこういうことなのかと理解をしつつ、ドキドキしていく様は、いろいろ予感させてくれてますよね。孝一の不意を突いた素直な言葉に、嬉しさを覚える萌花とかすっごい楽しい。
それにしても、服を着せるとか、何気ないことでも、エッチに感じる描写がたまらないなあ。
ただ、萌えがわかったからといって物語ができるわけではなく、書いては直し、直しては書いてと、作家と編集者が一丸となって、何度も何度も手を入れるシーンは、ひとつの作品を作り上げていくことの難しさが伝わってきました。
時に投げ出したくなることもあったけれど、相手の頑張りを見て奮起していくという展開は、とても良かった。
前半はちょっぴりエッチなコメディだったけど、後半に入ってからは熱い展開で、ほんと面白かったです。
次は萌えに過剰反応する風紀委員の風見さんが入って三角とかになってくれるととても嬉しいんだけど、さて、どうなるのかな。
ところで、各章の扉で宣伝される架空の小説の宣伝が、とても読みたくなる物語ばかりだなあと思ったのは、僕だけじゃないよね?
三流木萌花は名担当! (MF文庫J)
田口 一
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