「じゃあ、『好きだ』って言ってみたら?」
桜木は自分の黒髪をもてあそびながら、人の悪い笑みを浮かべる。
「【不言法】で、二宮さんに好きだと言えない。しかも言おうとしただけで【怖愛の枷】のせいで、死にかける。あなたはもう、恋愛なんてできない体なのよ」
「この悪魔め……」
「ははは!いつの世も恋愛は、滅び去るのよ!」
小学校の頃、初恋を意識した直後に転校してしまった金沢大和は、いつか少女・二宮七緒と結ばれるために、厳しい掟を実施していた。そして再び転校して地元に戻って二宮に告白しようとしたそのとき現れたのは、恋の邪魔をする恋禁術士を自称する桜木メルトだった……好きな人に誤解され、恋禁術士の助手を務めるはめになった大和が繰り広げるラブコメディ。
これは楽しかった。
恋禁術士を自称する桜木メルトの呪いがたまたまうまくいったことで、好きな人に告白できない体になってしまった大和が、なんとしても呪いを解いて貰うために、助手となったわけですが、二宮さんのために必死になっていろいろ頑張っているのに、すべてが誤解の元になっていくやり取りが、可哀想でありつつも、笑えちゃうんだな。
恋禁を謡うメルトと真逆に、生徒の九割をカップルにすると宣言する生徒会長の乙女もいい味出してて、メルトを引っかけるために大和に手を出してるうちに、だんだんと惚れてしまう恋心が楽しかったりする。
でもやっぱり一番楽しいのは、メルトの恋禁術を大和が手伝うところだなあ。カップルたちの邪魔をするといいながら、端から見るとカップルにしかみえないやり取りにニヤニヤが止まらないったらないです。
大和は二宮しか見ておらず、一方のメルトはだんだんと恋禁術が使えなくなってしまって。
何が起きてるか気づいてないのは大和だけですが、それでもメルトがピンチの時には駆けつけてあげるところが男の子ですよね。<
恋をしたら恋禁術は使えなくなる。でももしかしたら別の力が生まれるんじゃないかしら、そういうラストが素敵でした。素直じゃない二人が見せる最後のやり取りににっこりです。
桜木メルトの恋禁術 (MF文庫J)
森田 季節
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