「クリスティーナ。そうだ、おまえはクリスティーナだ。だが、長く受け継がれた血の末裔としての<クリスティーナ>ではない。ひとりの、たった一人の女としてのクリスティーナだ、自分でもわかっているはずだ、なぜそんなわかったような口をきく?そんな炎のような瞳をして、なぜ氷であるようなふりをするんだ?」
魔物退治を生業としている由緒正しき家系・跡部家の跡取りでありながら、まるで力を持たなかった遼太郎が、自称「パラケルススの娘」男装の麗人、魔術師のクリスティーナのもとへ修行に行き……19世紀のイギリスを舞台にしたシリーズの第八弾。今回は、町の雰囲気がクリスマス一色になるころ、クリスティーナの因縁の相手、魔術師シモンより猟奇殺人によるメッセージが送られてきて……というお話。
これはすごい!
クリスマス間近で、珍しくクリスティーナが祝おうと言い出したおかげで、みんなで飾り付けやら、料理やらを作るところに、ああいいな、ロンドンは、と行ったこともない町に、温かい雰囲気を感じていたんですが、ひとり苛つくクリスティーナの様子に、おかしなものを感じていたら……。
とある出来事から、クリスティーナの過去を見ることができて、これがとても切ないんだ。
聖杯として生きてきたというよりは、生かされてきた彼女が、はじめて生きていると実感していくところに、そして、若さの衝動から力を放出させることをいとわなかった男が、守りたい女と出会ったところに、運命を感じるんですが、まさかクリスティーナが……まさか彼女が……。
明かされた真実は、とても衝撃的で、それでいてストンと納得させられるものがあり。思わず鳥肌が立ちましたよ。ああ、思い出しただけでゾクゾクする。
さて、これでシモンとクリスティーナの関係がわかったわけですが……それにしては、最後のクリスティーナの態度が解せないな。いったい何を考えているのだろう?
クライマックスが近づいてきていることは間違いないので、続きが楽しみですね。
パラケルススの娘〈8〉クリスマス・キャロル (MF文庫J)
五代 ゆう
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