『泣けないほどつらいなら、せめて泣いて心を洗えるくらい必死になりなさい。
明星術式を後世に遺したフィラデルフィは悲恋に涙したけど、彼女は最後のその瞬間まであきらめずに行動した、と伝記にあるわ。
歴史に残るほど、彼女はあきらめの悪い、そして信念をもった女性だったのよ。
あなたは、どうかしら?』
魔界からやってきた少女キュートと、能力者育成学院に通いつつも、普通科から先にいけない男の子・理刀が出会って……ボーイミーツガールなシリーズの第十弾。今回は、ササラ姫の大婿様選考会に優勝してしまったことで、ササラ姫との結婚の段取りが進んでしまって……というお話。
優しいが故にきっぱりと断れない理刀と、臣下であるが故に姫を止めることができないキュート。
姫様付きのメイドたちは、姫の味方であるが故に、理刀とキュートを合わせようとせず、それが故にふたりが延々と悩む姿が描かれていて、とてももどかしく、イライラさせられます。
いや、わかるけど、わかるんだけど、そこははっきりいこうよ!と思いながら、自分でも同じような感じになってしまいそうで。あ、だから、イラついてしまうのかしら。
一番つらいシーンは、理刀からもらったハートの石の重みに負けてしまうところですね。現実逃避ではあるけれど、それでも……なあ。ムードメーカーのシルティのグッジョブがなかったら、もっと大変なことになってたでしょうね。
思い詰めたキュートに対して、なんだかんだ言いながら、優しい姉たちの後押しによって、フォンターナ家史上、初の行動を起こしたキュートに、よくやったと拍手してあげたくなりました。
伝えたい思いがあまって、出てきた涙が温かかったです。
ただ、今回キュートとササラ姫以外のヒロインたちが、ほとんど空気状態でしたよね。それが非常に残念……
きゅーきゅーキュート! 10 (MF文庫 J の 2-17)
野島 けんじ
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