「なあ、渚」
「何、大地?」
帰りかけていた渚が振り返った。
「明日も—会えるよな?」
「魔の森」と呼ばれる異世界からこちらにくる魔物を追い返している人魚とのハーフである麻生渚と、ちょっとしたことから、そのことを知ってしまった大地が繰り広げる退魔モノっぽいラブコメシリーズの第五弾。今回は、大地の従兄である土志紀が、魔物を身の内に飼ってしまい、その魔物が夜な夜な暴れ出して……というお話です。
従兄の嘆きに、いつもどおり魔物退治をしようとしたら、渚じゃ太刀打ちできないほどの強敵だったおかげで、シリアスだったなあ。
なまじ勝つための手段がひとつ残されていただけに、それを知ってしまった渚の心境は、つらかったと思います。
それまでさんざんツンとしていたけれど、大地を守るために自分を賭けて戦おうとする渚が、人知れず迎えた最後の晩餐のシーンはやりきれなかった。
一方の大地は、わずかな渚の変化に気づき、自らの手で解決策を捜し求めるあたりに、渚への思いを感じますね。必死さが印象的でした。
ちょっとご都合だよなあと思うところが多々かったけど、強敵を相手どって、死を覚悟した大地が「人魚の息吹」で戻ってきたことには、にっこりです。まったく最後まで素直じゃないんだから。
ところで、このシリーズは、今回でおしまいなのかな。土志紀編は終わって一区切りとのことですが、わりときれいに収まってるから、続編はでないかもしれないと思うと寂しいですね。
渚フォルテッシモ 5 (MF文庫 J き 2-5)
城崎 火也
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