「わかったよ。期待に添えるよう、裏切りはなるべく控えることにするよ」
「はい!じゃあ、あの、ここからがスタートですね」
「スタート?」
「ええ。二人で始めるんです。世界征服を!」
両親を亡くして落ち込んでいたクラスメイトの久喜島千沙を励ますべく、力になれることはないかと訊ねたら、悪の秘密結社を一緒にやってほしいと「お願い」されて……世界征服を企みながら、悪いことができない女の子と、彼女を守る(面倒を見る?)べく、秘密結社に入った赤尾竜太が繰り広げるほのぼの物世界征服物語。
INNさんの感想を読んで手に取ったんですが、いやあ、楽しかった!幼稚園のころに会ったと言い出した久喜島千沙と、出会う度にケリを入れてくる片桐ありすが、竜太と同じクラスになったら、そりゃどうなるかなんてのは、一目瞭然ですよね!初っ端のシチュエーションだけで、素晴らしきラブコメを予感させてくれて、委員長の高槻姫乃のように、ニヤニヤと意地の悪い笑みが止まりませんでした。
とまあ、和やかな雰囲気の中、いきなり秘密結社入りさせられてしまうんですから、慌てふためく……かと思ったら、そうでもなかったのは、優等生だけどどこか投げやりというか諦めがよすぎるというか、竜太がそういう性格だったからなんですが、さりとて、千沙のことを放っておけなくて。
技術的なことだけを言ったら、世界征服はともかくとして、世界中を大混乱にすることぐらいわけないモノを持ってるのに、悪いことをしようと決意しながら、銀行強盗しようとすれば整理券をとって並び、子供を誘拐しようとすれば一緒になって遊んであげちゃう千沙ですから、そりゃ、放っておけなくもなります。力を持てば当然狙われるし、悪用される可能性もあるので、千沙に危険が迫らぬよう守ることを決意したことで、それまで乾いた生き方をしていた竜太が、だんだんと生き様というか、熱いものを心に生み出していくところが良かったです。いや、そんな熱いお話じゃなくて、ものすごーくほのぼのしてますけどね。この雰囲気はとても良かった。
最後もまた憎い演出をしてくれるんだ。千沙だけでなく、ありすをきっちりとヒロインクラスに持ってきてくれるんだから、ああ、もう!個人的には、千沙の雰囲気好きですけど、ツン度高いありすもいいです。乙女の戦いが今後どうなっていくのかとっても楽しみですね。
第4回MF文庫Jライトノベル新人賞審査員特別賞受賞作。
二人で始める世界征服 (MF文庫J)
おかざき 登
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