「だが、誰が行く?火星は遠い。危険極まりない。サベラたちがなぜ遭難したか、原因も分からぬ。これでは救出隊も死ぬかもしれん。誰も、行きたがらんだろう?」
……もうこうなれば、売り言葉に買い言葉だった。
ノトは太い眉をつりあげ、ぎぎん、とレドライアスに向き直る。
「じゃあ俺が行くよ!」
今度こそレンビアと……と決意してたのに、ちょっとすれ違ってたら、レンビアがレドライアス大王にプロポーズされちゃって……といった大事なときに、火星に向かったサベラとラキザミが音信不通になり、急遽ノトたちが救助へ向かうことになるお話。
いやあ、面白かった。
ノトとレンビア。どちらも相手のことが好きで、相手の気持ちもわかってて、あとは、ただ言葉にするだけという状態なのに、ちょっと躊躇している間に、国王にレンビアをかっさらわれてしまうんだから、思わず、にやりとしてしまう。まあね、好きという思いはあっても、相手が国王じゃ、尻込みするのもわかるけど。っていうか、自分から出なく、ノトの言葉を待ってるなんて、レンビアも可愛いところありますね。
ってな感じで、なかなか先に進めないどころか、王妃候補ってことで、ろくすっぽ会えなくなった二人には、ああもう!とニヤニヤしながらイライラしてましたが、そんな二人が救助船に乗って火星に向かうんだから、いろいろ期待させられるってもんです。いや、ナキアミもいたけど、かなり脇役状態だったので、どうでもいい(ひど)。
火星で何が起きているか。ということについては、火星人が……と始まるわけですが、まあ、サベラの様子がおかしいとかいったあたりは、真相こそやるせないものが見えるんだけど、そんなことよりも、ノトとレンビアの関係がすっごいいいんですよ。
地球にいるときはどうしても話すことができなかった二人が、火星という王の力の及ばぬ地で、勇気を振り絞って気持ちを確かめ合うところには、こちらまでドキドキしてしまう嬉しさがありました。ああ、恋する気持ちって素敵。
何かが解決すると、何か問題が起きるという展開は、今回も存分に発揮されてて、救助船が火星にいく推進力がないとか、火星から戻れないとかいうところで、意外な解決方法を持ち寄ってくるところが楽しいです。科学的なところもあるし、かと思えば魔法を使ったりもするんだけど、その間に既刊で触れられてた複線を回収してくれちゃったりするから、やってくれるんだ。
なぜレンビアがツインテールになったかとか明かされるところは、予想通りだけど、ニヤリとさせられるものがありました。
ただ、地球に戻ってきてからの展開は、ちょっと速すぎるものがあって、微妙に置いてけぼりだったんだけど、レンビアを取り戻すあたりは、王道できてくれたのが良かったです。幸せそうなレンビアの笑顔が、すべてを物語ってますよね。イラストが素敵でした。
いやあ、面白かった。強引ながらもグイグイ引っ張ってくれて、あっという間に読まされてしまいましたね。楽しいひと時でした。
ところで、これって続くのかしら。あとがきには何も書いてないけど、話としては一段落ついてるので、ここで終わりなのかな。サベラさんがこれからどんな人生を送って、あんな決断をするのかというあたりは気になるんだけど、ま、そのあたりはいいか。
アストロノト!3
赤松中学
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