ドッペルゲンガーと出会ったのは、この町から引っ越す直前の小学五年生のときだった。あれから八年。大学生になった美千恵は、あのとき会ったドッペルゲンガーを探しに、再びこの町へやってきた。見つからなくてもいいのだ。ここには「あきらめる」ためにきたようなものだから。
そう思っていた美千恵に、突然、声をかけてきたのは、手のひらを緑色に塗りたくってる少年だった。
お姉ちゃんって黒い子だよね、と……
人の災いを予言したら、その人は自分のことを忘れてしまう ― そんな力を持ってしまったクダンが、力から解き放ってくれる鵺を探して訪れた街で、心に迷いを抱えた少女たちと出会うお話の第二弾。今回は以下の三編が収録されています。
- 幼いころ住んでいた町に、ドッペルゲンガーを探しにいく「尋ね人はドッペルゲンガー」
- バイト先で見かけた人に恋をした女の子の失意の思いを描く「コロポックルがやってくる」
- 子供たちの広場でのみ伝わっていた「手形」の思いが町へ広がる「鵺の足跡」
これは胸が痛くなるなあ。予言と記憶の関連から、切ないお話になることはわかりますが、それにしても、これは……。ドッペルゲンガー話は、切なさのなかに温かさも感じるお話でしたけど、二編目はきつかった。バイト先で共に働く香奈とのやり取りは、他人と深い付き合いをしないようにしていたクダンの戸惑いながらの嬉しさが伝わってくるだけに、すれ違うところが胸に響く。香奈とてわかってるだけに、それでも止まらないのは、かつて味わった不安があるからで……。
足りない言葉が辛さを呼び込み、ラストが切なく悲しかった。あー、泣きそう。
一編進むごとに、人が消えていく扉絵が、また涙を誘う。
そういえば、今回のお話は、怖さも目立ちましたね。子供たちの無邪気さに手形が合わさると、こうも不気味になるのかとゾクゾクさせられました。でも、それは純粋な思いがあるからこそ、なんですよね。辛いとき、寂しいときに、思い出せる場所というのは、誰もが持っているんじゃないかしらと思わされました。
前作同様の展開には、物足りないところもないわけじゃないですけど、やっぱり心にくる物語ですね。これでハッピーエンドだったら、さらに嬉しいんだけどなあ。
クダンの話をしましょうか 2
内山 靖二郎
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