オカルト研究会―といいつつ、実態はただゲームなどをして遊ぶだけのクラブの部長である神崎輝幸は、女子部員の蓬莱ありすという美しき少女に恋をしていたが、最近彼女は悩みがあるらしく、時折儚い表情を見せるようになった。何か相談に乗れたらと、話を持ちかけたら、嬉しいことに彼女は、自分を頼ってくれた。だが、蓬莱さんの言葉を聞いて、俺は耳を疑った。
失くしてしまったので、「私のかけら」を一緒に捜してほしいというのだから……
恋した少女・蓬莱ありすが失くしたという「かけら」を探すことになって、というお話なんですが、これは良かったです。個人的ヒット。
絶世の美女とか言い出したり、美少女に、心優しき幼馴染に、元気な下級生がいるクラブって時点で、思わずイタイと思ってしまったんですが、すこしふしぎな蓬莱さんの様子と、彼女に惹かれている輝くんの距離感が見えてくるあたりで、スッと入り込んだのがわかりました。
どの道を選択しても、結末は悲しいものしか見えないんですが、それでも、そこへ至るまでの間に、人を好きになるという気持ちに気づいていく展開が、素敵でした。告げられない言葉に込められた思いに、じわりとさせられるものがある。
また、この切ないお話が、別の角度から語られると、見えてなかったところに、優しさを感じられるんですよね。ああ、あのときの不思議な言動は、裏でこんなやり取りがあったからかと、疑問が解消されていく展開がうまいんだ。神崎視点では、はっきりと見えていなかった蓬莱さんの心の動きが見えたときには、嬉しくもあり、切なくもなったなあ。
幼馴染の麗華の意外な一面にはびっくりさせられましたが、恋する人の弱さが見えたり、元気いっぱいな杏の心遣いにしんみりさせられたり。
切なくも、好きな人を大切に思う雰囲気に浸らせていただきました。
いやあ、これはいいわ。ほんと素敵。まったりと、それでいて透明感漂う雰囲気が伝わってくる物語でした。オススメ。個人的には今年のMF新人賞の中で一番良かったです。
次なるお話で俣魅了してくれることを期待してます。
第3回MF文庫Jライトノベル新人賞佳作受賞作。
ヒトカケラ
星家 なこ
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