Home > ライトノベル > [三浦勇雄] 聖剣の刀鍛冶

[三浦勇雄] 聖剣の刀鍛冶

代理契約戦争が終わりを迎えてから四十四年。大陸は安定期を迎えていた。その大陸の隅にある独立交易都市ハウスマンで、自衛騎士団となったセシリー・キャンベルは、「悪魔契約」の力を振るう暴漢との戦いで、家に伝わる剣を失った。その時、彼女を助けてくれたのが、鍛冶屋ルークだった。彼の持つ「刀」に魅せられたセシリーは、ルークへ「刀」を打ってもらうよう頼んでみたが……

新人騎士のセシリーと刀鍛冶のルーク、ルークの助手のリサが、自身の体を餌に悪魔を呼び出す禁忌、悪魔契約をした者たちと戦う物語です。悪魔契約の設定とか時代背景の説明がいろいろありすぎて、はじめはちょっと引っ掛かりましたが、そんなに複雑でもなかったか。いわゆる剣と魔法のファンタジーと言っていいかな。

これは熱いですね。刀を打つことを止めたルークを動かすために、本気で気持ちを語り、態度でも示そうとするセシリーの行動には、しびれるものがありますね。しかも、それが口だけでないから素晴らしい。
強大な敵を前にして、足を震わせることがあっても、決して逃げ出そうとしない姿に、他人任せにしようとしない心の強さに、誇りの高さに、熱い思いが込み上げてきます。

そんな彼女の姿を見たら、そりゃルークも心を動かされますよね。無愛想で不器用な二人が、だんだんと打ち解けていく展開がとても良かったです。エピソードの最後のオチも楽しく笑えました。

そんな第一話「騎士 Knight」は、なかなか良かったですが、個人的にはその後の話の方が好きかな。

第二話「少女 Girl」は、ルークの助手である少女リサの心が見えるお話でした。ルークとリサの関係については、なかなか明かされないんですが、それでも、普通の関係ではないことは想像できて、自分を抑え気味になるリサの様子には、何か負い目でもあるのかしらと、心痛むことがあるんですが、セシリーがいい具合に関係してくれたな。このあたりは、女性らしい気遣いだと思いました。
無愛想なだけに誤解されることもあるみたいだけど、ルークも気を使ってないわけじゃないんだよということがわかるラストが素敵でした。ちょっとグッとくる。

そして第三話「魔剣 Sword」。市の競売品である魔剣アリアを、セシリーが護衛するお話。これが一番好きかも。
普段は人であり、魔剣にもなれるというアリアの事情には、居たたまれないものがありましたが、諦めを見せていた彼女を前にして、安易な慰めなどではなく、心から手を伸ばしたセシリーが素敵です。友のためなら泥を啜ってでもという意気込みと、信念を決して曲げない意地に、ひたすら燃えました。やってくれるぜ、セシリー。
正体がなんであろうと、心が通じれば、手を取り合うことが出来る、そんな友情が素敵でした。

ルークとリサの関係についても明かされたりしましたが、ルークの過去が気になるところ。

いやあ、面白かったです。熱い言葉で、気持ちを高揚させるやり取りは、「上等。シリーズ」に通じるものがありますね。これは続きが楽しみです。
そういえば、今のところ恋愛要素があまり感じられないけど、そっちも期待したいな。

聖剣の刀鍛冶(ブラックスミス) (#1)- 三浦 勇雄

聖剣の刀鍛冶(ブラックスミス) (#1)
三浦 勇雄

メディアファクトリー(文庫)
Amazon | bk1


関連エントリー
[三浦勇雄] [MF文庫J] [ライトノベル]

Home > ライトノベル > [三浦勇雄] 聖剣の刀鍛冶

Trackback:2

TrackBack URL for this entry
http://www.booklines.net/mt/mt-tb-t.cgi/2078
Listed below are links to weblogs that reference
[三浦勇雄] 聖剣の刀鍛冶 from booklines.net
聖剣の刀鍛冶 from Alles ist im Wandel 2007-11-27 (火) 02:19
聖剣の刀鍛冶(ブラックスミス) (#1) (MF文庫J (み-01-09))三浦 勇雄 メディアファクトリー 2007-11売り上げランキング : 45...
聖剣の刀鍛冶 from MOMENTS 2008-01-09 (水) 00:28
『上等。』シリーズの三浦 勇雄 & 屡那 コンビの新シリーズ開幕! 独立交易都市ハウスマンの自衛騎士団に成り立てのセシリー・キャンベルは、...

Comment:1

ジャラル 2007-11-28 (水) 11:05

「~上等」シリーズの三浦先生の新作はファンタジー、主人公は鍛冶屋、というのは新味ですね。実在の刀鍛冶の方に取材(というか最近の作家の方はしない人多いんですよね)しているだけあって、細かい描写等はかなりのものです。
魔剣アリアとリサの正体が明らかになる終盤への盛り上げ方も上手いです。まだ魔剣アリアが百人集まって勝てる?ルークの敵や今回の事件の首謀者の「商人」など謎の部分も多いですが次巻が楽しみです。

Comment Form
Remember personal info

Home > ライトノベル > [三浦勇雄] 聖剣の刀鍛冶

Search
お気に入り

超能力者との恋と青春!

超能力者のいた夏 (メディアワークス文庫) - 寺本 耕也

超能力者といっても何が変わるわけじゃない。ちょっぴり驚くことも多いけれど、寮生活を共にするうちに打ち解けあう姿がすばらしかった。みんな魅力的でこんな寮に住んでみたいと、そう思える青春ものでした。→感想


糖度パネエ!

悪魔のような花婿 (コバルト文庫) - 松田 志乃ぶ

悪魔伯爵と呼ばれた男に嫁入りした泣き虫姫の新婚ライフ。可愛らしくていじらしくて気恥ずかしくてニヤニヤして、喧嘩すら微笑ましい。読んでて砂を吐きそうになるぐらい甘いやり取りばかりだけど、羨ましくて楽しくて続きが読みたい。大好き。 → 感想


青春の下校ライフ!

484013250X484013426X

男一人に女の子三人で下校する。ただそれだけのお話なのに、楽しんでる様子が伝わってきてほっこり温かい。毎日一緒にいるのに、ひょんなことから意外な素顔を見て……みたいなのはいいですね。ほんのりある恋愛要素もニヤニヤです。→ 一巻感想 / 二巻感想


江戸時代。新たな暦を作る偉業を成し遂げた渋川春海の物語。

天地明察

最高傑作!碁打ちであり、算術家でもある男が、打ちのめされ挫折して挫折して挫折して、でも夢を忘れられず、立ち向かう姿に、どれほど興奮させられたか、泣かされたことか!さりげなく描かれる恋も素晴らしく、読み終わりたくないとこれほど思った作品はありません。 → 感想


左遷された北嶺で隠居生活を堪能しようとした史官ヤエトの前に、皇女が太守としてやってくるお話。

翼の帰る処 上 (1) (幻狼FANTASIA NOVELS S 1-1)翼の帰る処 下 (3) (幻狼FANTASIA NOVELS S 1-2)

中間管理職的苦労に悩まされるヤエトの姿がとても楽しいですが、それだけじゃなく、北嶺と帝国の歴史的秘密が見えてくる展開に興味を惹かれること請け合い!超オススメです!→上巻感想 / 下巻感想


普通の社会人であるこかげが、異世界の騒動に巻き込まれるお話。

wonder wonderful 上wonder wonderful 下

やさしさで涙する物語でした。あ、もう最高!王宮話やら恋愛要素やらも非常に楽しく、読み進めるにつれてゴロゴロ転がりまわりたくなること必至です!今年一番のオススメ!→感想 上/ 感想 下

なかのひと

Page Top