英雄にあこがれたネイブは、友人たちと共に賞金首狩り(ロット)を始めた。だが、「エレメント」の卵が孵化しないネイブは一人お荷物状態。今日もコソ泥相手に苦戦をしたのは、ネイブが足を引っ張ったせいだ。他に何ができるわけでもないネイブは、気持ちこそはやるものの、惰性のまま日々をすごしていたが、それでも唯一の家族である妹には、嘘をついて心配をかけまいとしていた。
ところがある日、見るも怪しい卵の「判別師」である千里眼が、町を訪れて……
英雄を目指しながらも、仲間の足手まといとなっていた少年の身に、ある日、悲劇が襲い掛かってきて……というお話です。
うーん。つまらなくはないんだけど、好みじゃないなあ。というのも、主人公たるネイブがどうにも気に入らないんです。エレメントが使えないことで引け目を感じるのはわかるんですが、努力もせず、それでいてパーティを抜けることを怯えるって、どれだけ情けないんだか。「卵が孵化しないこと」だけをもって、被害者意識的なものを持ち歩いてる姿は、読むのが痛くて痛くてしょうがなかったです。
特に、妹のハルに対して嘘をつくところは、読んでてつらかったなあ。ありもしない武勇伝を語ると喜んでくれる妹。たぶん、始めは、何の気なしだったんでしょうね。思った以上に喜んでくれたのは、取り柄が無いネイブにとって、嬉しいことでもあり、妹へ心配をかけたくないという思いもあったんでしょうね。
嘘に嘘を重ねていくうちに焦燥感に囚われて、だんだんと取り返しがつかなくなっていくところは、痛さよりも辛さのほうが大きかったですが、ちょっとつつかれただけで、仲間さえ疑うようになってしまうんですから、もう、限界だったんでしょうね。ネイブのことを大切に思ってくれている人たちを振り切ったときに、崩壊は決まってしまったんだと思いました。
ただ、ここからの展開はちょっと物足りなかったです。なかなか孵化しない卵を持っている人は……ってところは、まあ、お約束だから良いとして、あれで絶望といわれてもなあ。鬱展開というには、落差がなさすぎ。ひでえ、とは思ったけど、むしろ、自業自得と思ってしまう僕がいる。もうちょっと成長物語っぽくなってくれたら、好きになれそうだったんだけどな……。
たぶん、続くことになると思いますが、個人的には合わなそうな気がするので、続編は様子見で。
第3回MF文庫Jライトノベル新人賞佳作。
地を駆ける虹
七位 連一
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