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[五代ゆう] パラケルススの娘 7 ラーオ博士のサーカス

「本家」の跡部を支える四つの家門のひとつ玄塚の者である英慈が、遼太郎の前に現れた。どうやら、当主であるたか女ではなく、他の家の人が、美弥子や和音の探りを入れようとしているらしい。スパイであることを知られながらも、飄々としている英慈に、どこかうさんくささを感じていた遼太郎の耳に、何者からか言葉がかけられた。玄塚の者に気をつけろ、と。
やがて、彼の手引きで夜遊びに誘われた遼太郎は、みんなに心配をかけまいと、彼に付き合うが……

クリスティーナが嫌悪を露にしたサーカスへ、玄塚の落ちこぼれだというスパイ英慈が遼太郎を連れて行き、そこで遼太郎は美しい踊り子と彼女を狙う化け物に出会って……というお話。

そうだった。そういえば、遼太郎は跡部家の跡継ぎだったんだ。情けない印象が強すぎて、すっかり忘れてましたよ。ともあれ、和音や美弥子の遼太郎側にいたいという思いを利用しようとする勢力争いは、嫌らしいですね。
当然、監視に来たという英慈も歓迎されていませんでしたが、本人は飄々としてまるで気にしないので、ほんとにこいつは怪しいやつなのかと、疑いたくなるほどでした。

そんな英慈に、遼太郎がサーカスを見に連れて行かれたんですが、ここのシーンがすごい印象に残ってます。人気のあるサーカス団を見に行こうとする人ごみの描写には、まるで自分がその場にいるかのごとく、息遣いを感じました。今までこういう描写があったかどうか覚えてませんが、このシーンがなんか良かったです。

このサーカスの場で、引き付けられる可愛さと甘い声を持つサーカスの花形フェリーチェと、彼女を狙う怪物に遭遇するんですが、いやあ、まさか、こういう作りになってるとは思わなかったなあ。サーカス団そのものが怪しいと言い出すジンジャーの依頼を受けて、フェリーチェと話をしていた遼太郎たちが、彼女の言動に違和感を覚えて、それが恐怖へと変わっていくところとかわかりますね。他のところで起きていた事件が、ここで組み合わさってきて、彼女はひょっとして……というあたりは、戦慄ものでした。

そうなると、フェリーチェを狙う怪物が逆に見えてくるんですから、すばらしいですよね。誰もが知ってる物語がモチーフになってるとは気づかなかった。「怪物」であり続けようとする彼の願いに、せつなさいっぱいです。

今回いつもと趣が違うように思ったのは、クリスティーナが悠然と構えていなかったからかな。例え絶体絶命のピンチであっても、他人をからかうことは忘れない図太さを持っていると思っていたのに、魔術師シモンについて、というか、遼太郎が産霊者だってことが、思ったよりも大きく響いてるみたいですね。

聞く耳持たぬとばかりに、遼太郎をけなす姿には、守りたいからこそ遠ざけたいというような感情が見え隠れしてましたが、いったいどういうことなんでしょうね。マクスウェルの言葉が本当だとすれば、遼太郎はかなり大きな鍵となる気がしますが、いまだ不明な点が多いので、このあたりどうなるのかとても気になるところ。

いやあ、面白かった。遼太郎のみならず、美弥子や和音が強くなったところに、成長を感じましたね。「普通」という尊さも、味あわせてくれました。遼太郎には、この「普通」をしっかりと守り通してもらいたいものですね。

パラケルススの娘〈7〉ラーオ博士のサーカス (MF文庫J) - 五代 ゆう

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Comment:2

ジャラル 2007-09-26 (水) 11:07

今回の元ネタは「ラオ博士の七つの顔 」という古い映画だとホラー映画ファンは気づくでしょうし、今回のゲストはメアリー・シェリー女史の生み出した「世界4大怪物」の一人です。まあ内容はだんだん深刻になっていって・・・ボスキャラ?魔術師シモンとの決着も近いようですが・・・果たして和音や美弥子達は戦力になるのかな? ジンジャーも直接戦闘力は低そうだし、遼太郎の成長に期待かな?

deltazulu 2007-09-26 (水) 20:49

「ラオ博士の七つの顔 」も「世界4大怪物」も知りませんでした……orz
十分楽しめたんですが、知ってたらもっと楽しめたのかもしれませんね。ああ、ちょっともったいない気分。

> 魔術師シモンとの決着も近いようですが・・・果たして和音や美弥子達は戦力になるのかな?
今後は遼太郎だけじゃなく和音や美弥子の活躍も期待したいですねー。個人的には和音ガンバレといいたい。

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