高校に入って、初めて迎える夏休み。バイトがある以上、なかなか出かけることなんてできないだろう。あの朝永のことだから、遊ぶことなんてろくに考えてないに違いない。そう思っていたきらほだが、何と朝永が海に行くと言い出したのだ。
わくわくしながら、きらほ、鞠菜、智子、朝永の四人は、彼の別荘に向かったが……
そんな「桜乃きらほの夏休み」に「智子と鞠菜」「ドクター朝永の華麗なる平日」の二編の短編がついてくるシリーズ最終編です。まさか終わるなんて思ってもいなかったので驚き。
「智子と鞠菜」は、前作のその後のエピソードみたいな感じですね。智子と朝永のデートで跡をつけてしまったことを鞠菜が謝りに、というお話ですが、これがまたいいんですよ。なかなか謝れないけれど、ちょっとしたことから、壁がなくなっていく展開が素敵でした。派手さはないですが、青春の一ページという感じですよね。
「ドクター朝永の華麗なる平日」は、1巻のころと比べたら、まるで違う朝永が面白いですね。あの冷静沈着完璧人間が、こうもきらほに崩されるとは思ってもいませんでした。なんだかんだ言って、その状況を楽しんでいる様子がいいですね。
そして「桜乃きらほの夏休み」。きらほや鞠菜の旅行へのワクワク感が伝わってきます。露出度満点な水着で頑張る鞠菜の努力を蹴散らす、友永の朴念仁さに笑える。臀部言うな臀部。
いつの間にやら、朝永ペースに慣れて達観したきらほの姿にニヤリとさせられますが、智子のさりげないおせっかいも、きらほにとって実は背中を押すきっかけになってるんだろうなあ。さすが委員長です。
そんな楽しい旅行が一変して、きらほの心の傷が開かれていく展開は、心苦しいものがありました。ショックのあまり、思いとは裏腹なことを口にしてしまう気持ちがよくわかります。好きな人に裏切られた気分でしょうから。そのままであれば傷が深くなったと思えるだけに、そばにいてくれた朝永の優しさがとてもいいですね。
不意討ちには思わず、こちらまで顔が赤くなってしまいましたが、どこまで深い意味を持っているのか、想像するとニヤニヤしちゃいます。
最後には元気よく向かっていったきらほに、ほっとしました。イラストも素敵。
派手さはないけれど、しっくりくるような物語であっただけに、この状態で終わってしまうのは、とても残念ですが、また新たな物語で出会えることを期待しています。
桜乃きらほの夏色救急箱
月見 草平
ちなみに著者である月見草平さんの blog で、鞠奈のちょっとした短編を見ることができるようです。「夏色救急箱」を読んだ方はぜひ。面白かったですよ。
追記: 12/23
月見草平さんからのクリスマスプレゼントとして、「桜乃きらほのクリスマス」という短編を見ることができますよ!
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