「七月の英雄」と呼ばれる生徒会長選挙は、現職である和美が当選するだろうと誰もが思っていた。だが、そこへ切り込んできたのが、和美の腹心ともいうべき、真行寺だった。現生徒会の仲間に何一つ言わずに立候補したのだ。
いったい何が彼を動かしたのか。自分たちはどうすべきか。悩む和美と、そんな彼女を応援していた里見たちだったが、あるとき、真行寺は里見にとんでもないお願いをしてきて……
内気なところがあるけれど、傍で支えてくれるお姉さんっぽい黒川和美と、元気いっぱいで愛情を真っ直ぐに伝えてくれる幼なじみ……のような間柄の犬塚吉野と、藤森里見が、三角関係ラブストーリィの完結編です。
これは素敵なラブストーリィだったなあ。主に吉野との間だけですけど、この巻を読んで、吉野に惚れない人がいるでしょうか。真っ直ぐな気持ちを前面に押し出し、困難があっても前向きに乗り越えていき、ライバルを蹴落とすのではなく、むしろ同じ土俵に引き上げてから戦おうとする姿に惚れ惚れする。
おかげで、和美も逃げ出すことなく、里見を思うようになってくれて、生徒会選挙という学校行事を通して、三人が思いを明らかにしていくという展開が、とても素敵でした。
黒幕のような真行寺の思い人が、意外や意外な人だったところにニヤリとさせられて、結果を分かっていながら、それでも思いを告げたかった女の子の勇気に拍手を贈りたくなり、そんな女の子を慰める少女たちの友情にホッとさせられてと、エピローグがとてもいい感じでした。何より、自分の思いを臆することなく告げあった二人の幸せなラストが、とても良かったです。
ただ、吉野の話ばかりで、和美方面や突如として和美の傍から離れた真行寺とかの話が、ほとんど描かれなかったのは、物足りないかなあ。話を引き伸ばすような選挙の前座とか書くぐらいなら、そのあたりにもっと踏み込んでくれればよかったのに。
待ってて、藤森くん! 4 (4)
壱乗寺 かるた
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