先輩から貰ったチケットで、志乃ちゃんと個展に行ったら、クイズに当たって、画家のアトリエを訪れることになってしまった。せっかくなのでと、山奥にある九瑠夜明日先生のアトリエに向かったが、たどり着いたとき、突然志乃ちゃんが帰ろうと言い出した。一体何があったのだろう?
怒らせた九瑠夜明日先生と、志乃ちゃんをなだめ、何とか一泊することになったが、そこで待ち受けていたのは……
山奥にある九瑠夜明日のアトリエを訪れたら、惨殺死体を発見して……、という第二部スタート。どうやら第二部は、事件の謎解き物語というよりは、志乃ちゃんの心のミステリーを解いていくというお話になっていくみたいですね。
「僕」を通しながらの物語の展開はいつもどおりなんですけど、珍しく志乃ちゃんが煮え切らない様子を見せてて、ふたりの関係がチラッと変化したことを伺わせてくれます。「僕」の何気ない一言で、素の表情を今まで以上に見せてくれる志乃ちゃんが可愛い。
一方の「僕」の方も、ちょっと志乃ちゃんへの意識が変わってきたような……。家族という思いは変わらない気がするけれど、より近くなったかしら。たまに、意識する感情が、志乃ちゃんにどういう影響を与えるのかしらとか考えると、ドキドキですけど、いつもと違う志乃ちゃんに、「僕」が「勘違い」して慌てる姿を見てると、まだまだそこまではいかないか。
あの慌てっぷりには笑いましたが、勘違いを正しつつも、志乃ちゃんが素直に言う事を聞いてたのは、ひょっとして甘えてるのかしらとか想像して、ひとりでニヤリ。
とまあ、ふたりの関係については、そこそこ楽しめましたが、お話としては微妙だったかな。館ものらしい展開だったので、ミステリーを期待してたら、謎解き要素がなくて、がっくし。「天才」とか「才能」というものについての描写もイマイチなので、動機もイマイチに思えてしまうところがありました。
「支倉志乃の敗北」という副題の意味もよくわからなかったなあ。まさか、ダウトの話じゃないよね?それとも、自分の意志を貫き通せなかったというところを指すのかなあ。
志乃ちゃんが迷ったおかげで、結果として惨劇に巻き込まれることになったけど、あの時点でそこまでわかったら神だし、その後も失敗をした訳でもないし……よくわからん。まあ、この志乃ちゃんの揺れに、今後焦点が当たっていくんでしょうね。
事情を知った真白ちゃんが、大胆な推測をしてて、これが不安を掻き立ててくれます。新たに覚えた感情に振り回される事はあるかもしれないけれど、「僕」と一緒ならば、と思いたいけど、どうなるんだろう。
最後のページで、彼と彼女の間に、何らかしらの過去があることを匂わせてくれてるので、大いに気になります。
SHI-NO支倉志乃の敗北 (富士見ミステリー文庫 76-6)
上月 雨音
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