海沿いにある西海中学の敷地内の南の橋には、その男子寮があった。廃墟のようなボロさから、いつの間にか「くずれ寮」と呼ばれている葛葉寮が、夏休みを持って廃寮になるかもしれない―その通知を知った藤森里見たち男子寮の面々は、なんとしても廃寮を阻止するべく、寮の行く末の決定権の一勢力、女子寮寮長の協力を得ようとしたが……
廃寮の危機に迫られた男子寮を救うべく、藤森君と寮長の川島が、女子寮を味方につけようと奮闘する物語集……って、何でいきなり番外編というか、本編のプレストーリーが始まるんだろ。単なる回想シーンかなと思っていたら、一冊丸々寮ものだったので、本編を楽しみにしていた身としてはがっくし。
女子寮に盗撮問題が持ち上がったら、犯人をおびき寄せるべく女装したり、好きな男の子にアタックする勇気が出ない女の子のために、練習台としてデートさせられたりと、男子寮のために体を張る藤森君の努力は涙ぐましいものがありますが…くすりと笑えるときもあるんだけど、全体的に空回りな感じで、微妙でした。
特に、空気を読まない寮長に毎回ぶち壊される展開は、ちょっとね。悪気は無いし、いい人だというのもわからなくもないんですが、毎回毎回、猪突猛進っぷりと、同じような展開が繰り返されるので、さすがに飽きてくる。
こんな男に惚れてしまってる女子寮寮長の浅越友香が不憫でなりませんが、それでも、恋心が見えてくるところは、良かったなあ。
恋心といえば、寮に入ったことで、久しぶりに会うことになった吉野に対して、里見が家族以上の気持ちに芽生えていくところは、くすぐったくなったなあ。こういう反応は好きです。
といいつつ、里見をぎゅっとした吉野の「大きくなったね」という言葉を誤解した自分の貧の無さに、落ち込むわけですが。
藤森君が寮に固執するのは、吉野のことがあったからと思ってたんですが、仲間と離れ難いってのもあったんですね。寮にいることの楽しさが伝わってくるやり取りが素敵でした。毎回寮長を出すぐらいだったら、もうちょっと寮内の他の人にスポットを当ててくれればよかったのにと思わなくも無い。
エピソードは良くとも、話としては微妙なものが多くかったので、うーんと思いましたが、エピローグは、ほんのり笑いつつ、心があったかくなるものがありました。
次が最終巻とのことなので、一応、追いかけてみたいと思います。
待ってて、藤森くん! 3 (3)
壱乗寺 かるた
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