ライブの疲れが残りながらも冴子と寝たのは、ひょっとしたら興奮が冷めることを恐れた自分のわがままだったのだろうか。冴子との会話から、再び恋愛について考え始めた健一は、綾とのやり取りを経て、ひとまず落ち着きを取り戻した。今、できないからといって焦る必要はないのだ。
お礼というわけではないけれど、ちょうどいいきっかけだったので、健一は綾と先日約束した中華街へ行く事にしたが……。
マンションに存在しないはずの13階に足を踏み入れることができた人たちの恋愛物語。
今までは恋愛について考えながらも、周囲の状況に流されたままでしたが、今回はちょっとだけ変わったかな。一歩踏み込むというか、広がったというか、そういう考え方をするようになってきたような気がします。やっぱりライブで気力を使い果たしたという影響は、大きいものがあったんだろうなあ。
ただまあ、考え方がチラッと変わったところで、流されるところは流されるわけですが。
綾さんとの話は、ちょっと以外でしたが、彼女の不安と勇気を分かってしまったら、振り払う事なんてできませんよね。個人的には、綾さんに良かったねと言いたくなります。ただ、千夜子ちゃんがいるから素直に喜べない……うーん。
その千夜子ちゃんは、とても素敵だったなあ。何を本当に望んでいたのかを思いださせる千夜子の言葉は、健一を見ていた人だからこその思いが伝わってきました。千夜子ちゃんが側にいてくれるからこそ、健一はこちら側にいられるんじゃないかと、蛍を思い出して危うい揺れ方をする健一を見て思いました。
いろいろ不安を思わせる描写がありますが、頼むから彼女の手は離さないで……と願いたくなります。
前作ではライブシーンで涙させられたんですが、ライブのTV放送が流れた今作でも、同じように泣かされました。シーナの歌もさることながら、バケッツとしての演奏を客観的に聞いた健一の心境にやられました。未体験ゾーンだから理解できるとは言えないけれど、感動が伝わってくる演奏に痺れます。鍵原の真面目な応援にも不意をつかれてグッとさせられたり。
ここでの盛り上がりがあったから、日奈の決意には、ひょっとしてと期待させられるものがありましたね。いや、プロローグで既に結果を知っているんですが、それでも、いい意味というか、しかたないかと思えるような方向にいくのかと思っていたんですが、まさか思いを届けることすらできないとは……。ない思いを重ねてきただけに、この結末には苦しくなるばかり。
絶望に浸る日奈の手を取ってくれる人がいたことは良かったと思うんですが、よりによって相手が……。こうなると、次はシーナではなく、日奈を相手としての話になるんでしょうか。どうなるかまるでわからないだけに、気になるばかりですね。続きが待ち遠しいです。
ROOM NO.1301 #9 (9) (富士見ミステリー文庫 16-18)
新井 輝
まるで関係ないけれど、僕も千夜子ちゃんは、出来ちゃった結婚とかそういったことを話したらいけないキャラだと認識中。
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そういえば、ドラマCDは、もう三巻まで出てるんですね。早いなあ。
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