あたしがホームから転落する予定だった駅が、廃線になっているなんて。幽霊列車でもいいからやってこないかと、あたしが、レールの狭間に体を横たえてきたとき、都会的センスをもったきれいな女の人、リガヤに声をかけられた。造形作家であるという彼女は、『幽霊列車』を蘇らせるために、町へ戻ってきたという。何でもいい。あたしを轢き殺してくれるならと、あたしは彼女の手伝いをすることにしたが……
田舎町に住み、死を望む少女ミサチが、都会から戻ってきた少女リガヤと出会って、自分の思いに気づいていくお話という感じかな。儚く、心に弱さを持ちながらも、どこか芯の強さが見える少女たちの姿が描かれてますね。いやあ、すばらしい。
中学二年生のミサチが、なぜ死を望むのか。味覚障害と併せて語られる話には、いろいろと示唆するものがあるんですが、そのことに気づけないからこそ、目を向ける方向が自分に向かってしまったんだろうなあ。周囲の人が気をかけるにつれて、むしろ追い詰められていく境遇に苦しさを覚えます。
高校三年生のリガヤが、ミサチを引っ張りあげてくれるのかと思っていたんですが、彼女自身の事情や『幽霊列車』を創作していく過程を見るにつれて、不安が走るばかりでした。ミサチといるときはいいお姉さんと思えるだけに、何かあったら崩れ落ちるような脆さが、怖かったです。
死を望むきっかけを失いながらも、リガヤと向き合うことを続けたのは、リガヤの脆さを感じてしまったからなんだろうなあ。彼女のために、決意したのは、やっぱり惹かれてたからなんでしょうね。だからこそ、惹かれている人が、魅せてくれる人が、逃げると感じてしまったら、手を引く方向は変わるわけで。
リガヤの心と、ミサチの心と。 こんぺい糖から、お互いの気持ちを伝えあっていくシーンが、とても印象に残りました。
いやあ、すばらしい。この雰囲気の良さを言葉で伝えることは、とてもできそうにありませんが、廃線やひまわり畑といった情景と、少女たちの心が織り成す雰囲気の美しさを味わうことができて、嬉しく思います。こういう雰囲気を魅せてくれる作品って好きだなあ。
これは次なる作品も期待に胸が膨らみますね。
オススメ!
幽霊列車とこんぺい糖―メモリー・オブ・リガヤ
木ノ歌 詠
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