「で、何が聞きたいんだ、今日は」
「実は前から聞きたかった話があるんです。たとえば……先生が弁護士になって最初に体験した民事の依頼のお話とか」
先生の眉が、ぴくりと動いた。
「……おい一尺。俺が刑事専門だってことは知ってるはずだ。それなのになんで民事の体験談なんざ聞きたがる?」
「ほら、一言も否定しないってことは、あるってことですよね?」
というわけで、山鹿善行が刑事専門を志すキッカケとなった民事を担当するお話「詐欺師の生まれた日」を含む八編からなる短編集です。
いやあ、笑った笑った。逆転裁判的な感じはあまりないんだけど(さすがに短編じゃ短すぎるて難しいか)、強引な弁護は健在だし、短編集キャラの一尺八寸の受難もあるし、別の方面でピンチになる善行が見れたりと、楽しい限り。特に、そこまでやっていいのか的小ネタ系には、何度吹きだしたことか。
個人的に一番面白かったのは「過去のアヤマチ ~おとうさんといっしょ~」ですね。「あなたの子よ」みたいなところから、その人の依頼を受けるお話。いや、びっくりですね。影野が「あ……ありのままを話すぜ」になっちゃうのも解る気がします。っていうか、そりゃまずいだろ、善行。口は悪くても、そういった方面は清潔だと思ってたので、シモに走るのはちょっと退き気味(といいつつ、笑い転げていたのは内緒)。
弱みがあるので、普段は受けないような仕事を受けたわけですが、解決方法が強引過ぎですよ!一歩間違えれば、すべてがアウトになるのに、危険だとは一ミリも思ってないんだろうなあ。良い子の一尺八寸さんは、真似しないように……と思ったけど、何気に相手の隙をつくところは、似てきましたよね。やはり弟子とはそうなってしまうものなのか。
弟子といえば、善行の師匠が出てきた「詐欺師の生まれた日」及び「詐欺師の生まれた日 ~真相編~」を読んで、善行の性格は昔から変わってないけれど、これだけ強力かつ強引な手段をとるようになったのは、師匠のせいじゃ……とか思うようにもなりました。なんだかんだ言って、似た者同士だ。ってことは、一尺八寸も……なんて思ったとか思わなかったとか。
裁判とは決して弱者の味方になるとは限らないってところは心に痛いですが、少しずつでもいいから、裁判制度も良くなってくれたら嬉しいですね。
いやあ、楽しかったです。これは多分、著者さんもノリノリで書いてるんじゃないかしら。ネタに走りすぎだろと思いつつも、リズムの良い物語に魅了されました。
どうやら次は新シリーズとなるみたいですね。個人的には、タクティカル・ジャッジメントシリーズは大好きなので、続編が出てくれたらなあと思うんですが、新たな物語も楽しみにしたいと思います。
タクティカル・ジャッジメントSS 4
師走 トオル
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